あと30分早く寝てみませんか?

2022/09/27

 福岡は朝の4時位からすごい土砂降りと雷で、窓を開けて寝ていた蒼野は飛び起きてしまいました。窓を閉めてまた寝ようとしたのですが、なかなか眠れません。眠りの事を考えていると、いろんな疑問が湧いてきたので、今日は睡眠についての基本的なことから調べてみることにします。

 睡眠って脳の休息とよく言われますよね! しかしこれは誤りのようなのです。いろいろな動物や生物を調べてゆくと、もちろん哺乳類に寝ない動物は居ません。魚などの脊椎動物にも寝ないものは居ません。蒼野が知らなかったのは、無脊椎動物である昆虫やタコ、いか、貝、線虫なども、例外なく眠るということです。

 さらには脳が無いクラゲやイソギンチャク、ヒドラなども眠るのです。睡眠が脳の休息というのは間違いで、進化の歴史からも、脳が出来るよりも先に睡眠が存在していたのです。では睡眠の意味や効果は何かというと、まだはっきりとは分かっていないそうです。

 外界に対する意識が無くなる状態である睡眠は、生物にとってとてもリスキーな状態です。寝ている時に天敵に見つかれば、生命は無くなるのです。でも全ての生物が眠ります。ラットは眠れないように、寝かけるたびに突いて起こしていると、10~14日で全て死んでしまうそうです。睡眠は、生命維持には絶対必要なものだと言えるのです。

 睡眠中の脳波を調べると、実は大脳皮質のニューロンの活動は覚醒中とあまり変わらないことが分かっています。外界とは切り離された状態で、ちょうどコンピューターのオフラインメンテナンスのようなことが行われているのでは無いかと推測されています。

 REM睡眠中の脳波は覚醒中の脳波パターンに近いそうです。nonREM睡眠の大脳皮質のニューロンは、同期して活動しているそうです。しかしその意味はまだ解明されていません。よくREM睡眠は浅い睡眠で、nonREM睡眠は深い睡眠だと言われていますが、これも違うそうです。どのぐらいの音を聞かせると目が覚めるのかという実験では、REM睡眠もnonREM睡眠も同じくらい大きな音でないと目が覚めないからです。

 通常の睡眠パターンはnonREM睡眠から始まります。nonREM睡眠には深さのステージが4段階あり、深くなるにつれて脳波が変化します。個人差はありますが、最初のnonREM睡眠が60~80分、次のREM睡眠と合わせて90分前後で1サイクルとなります。朝まで4~5サイクルを繰り返し、朝に近くなる程、REM睡眠の時間が長くなります。

 REMとnonREMはどちらもすごく大事です。nonREM睡眠中は記憶の整理整頓が起こっていると言われています。記憶に残すためには勉強してすぐに寝るのが良いという話は少し前に書きましたよね! REM睡眠中には、大脳への血流が覚醒時よりも増えるという事が発見されています。脳の老廃物などを洗い流しているのではないかと推測されています。

 朝方多くなるREM睡眠が、5%少なくなると、死亡率が13%上昇するというデータがあります。毎晩飲酒するような人は、アルコール代謝で出るアセトアルデヒドが、交感神経を優位にするため、朝方に目覚めることが多くなります。こういうことからもアルコールは早死にの原因になるのですね!

 睡眠が不足すると病気が増え、病気になると睡眠が悪くなります。具体的にはメンタル疾患、メタボリックシンドローム、認知症、癌などです。ダイエットの一番の敵は睡眠不足です。研究では肥満者に2時間長く寝るよう指導し、実際には1.5時間くらい睡眠時間が増えると、食欲が低下し、摂取カロリーが300Kcal/日も減り、寝るだけで痩せました。

 一方健常者の睡眠時間を2時間短くして2週間過ごしてもらうと、摂取カロリーは300Kcal/日増え、体重は0.5kg増量し、何より内臓脂肪が10%増えていることが判明しました。めっちゃ恐ろしいですよね! 蒼野自身も、寝不足の時は食欲が増進して、特にジャンクなものなどが食べたくなる自覚があります。みんなそうなのですね!

 個人差はもちろんあるのですが、研究によると睡眠時間が7時間以下になるとうつ病が31%、肥満が25%、糖尿病が28%、心臓病は48%増加するというデータがあります。自律神経とホルモンの撹乱が起こり、中枢神経と免疫システムの相互作用も上手くいかなくなるため、さまざまな病気のリスクが増えてしまうのです。

 日本人は世界一寝ていない国民です。普通はGDPが高くなる程、睡眠時間は長くなるのに、日本だけこのグラフから外れています。最近のウェアラブルデバイスのビッグデータでは、東京でデバイスを使用している人の平均睡眠時間は5.5時間でした。先進国では軒並み7時間は超えているにも関わらずです。国民全体の概算では、世界では軒並み8時間を超えていますが、日本人は7.8時間、30~40代では7時間を切っています。

 実は睡眠不足は慣れてしまうと自分では認識できなくなるのです。徹夜すると翌日のパフォーマンスはガタガタになりますよね! この状態はアルコールで酩酊状態になっている時と同じくらいの状態だそうです。しかし6時間睡眠を10日間続けた時も、睡眠負債が溜まり、実は同じレベルまでパフォーマンスが下がっているのです。

 これを経済損失に当てはめると、日本ではGDPの3%が睡眠不足によって失われています。なんと年間15兆円です。みんながもっと寝るようになるだけで、GDPが3%上がるのですから、不況を嘆く前に、もっと寝るべきです!

 私はショートスリーパーだから大丈夫と言われる方はおられると思います。動物の研究では、種によって必要な睡眠時間というのは大体似通っています。また近い種ほど同じ位の睡眠時間が必要なのです。これは遺伝子に睡眠時間のセットポイントがあるからだと言われています。なのでヒトの場合は、最低6時間というのは守ったほうが良いように蒼野も思います。

 自分が必要な睡眠時間を調べるには、まず5日間今より30分多く寝るよう、就寝時間を早くしてみましょう。昼間に眠気がなく、十分に眠った感覚が得られる睡眠時間があなたの必要な睡眠時間です。30分長く寝るようにしただけで、今までずっと頭に靄がかかっていたのがぱあーと晴れたように感じる方もおられるのです。ショートスリーパーを自認される方も是非やってみて欲しいです!

 寝る前のスマホやパソコン、テレビなどのブルーライトが悪いというお話は何度も書いているのですが、実はスマホの光は画面が小さいためもっと重要なことがあるようです。日本人の寝室の天井についている灯りは、明るすぎる家が多いそうです。コンビニ並みに明るいと、それだけで睡眠ホルモンのメラトニンが止まります。

 スマホはナイトモード設定もでき、フィルムなどでブルーライトカットも出来るので、部屋の電気を気をつけることが大事です。おしゃれなレストランや、天井に灯りのないホテルの部屋のように、少し暗めの照明にセッティングしましょう。夜は暗いことが健康の鍵になるのです。

 先日新宿に泊まった時、朝まだ暗いうちにホテルのカーテンを開けると、めちゃくちゃ眩しいことに驚いた蒼野です。始発の新幹線に乗るため街に出ると、福岡の昼間の天神並みに人が歩いているのにも驚きました。一晩中明るい照明がついていて、世界一眠らない街が東京なんだなあと実感した次第です。

 調べてみると、睡眠の謎はまだまだわからないことだらけ、ということがわかりました。とりあえず蒼野は今晩から、もう30分早く寝る習慣にトライしてみようと思っています。皆様もいかがでしょうか?

参考書籍: ニュートン式 超図解 最強に面白い!!睡眠  柳澤 正史

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