MCIから生還する生活術!

2022/12/03

 今日はMCIから生還するための方法です。認知症になりやすい生活習慣は判明してきていますし、認知症を遠ざける習慣も分かっています。加齢と共にほとんどの方に起こりうるのが認知症ですので、その前段階の症状に気付いたら、自分ができるものをチョイスして、実行してみて欲しいと思います。

 昨日書いたように、MCIの段階は、正常に戻れる最後のチャンスなのです。自分で「今まで忘れたことがないことを忘れた」とか、「仕事の効率が落ちてミスが増えた」とか、「何に対しても意欲が無くなった」などに気づいたら、認知症になりやすい生活習慣を改めて、なりにくい習慣を一つでも良いので増やしましょう。

 人間は誰しも、「今まで大丈夫だったのでまだ大丈夫だろう」とか、「私に限って認知症になるはずがない」などという正常性バイアスと呼ばれる認知の歪みを持っています。合理的、客観的に物事が捉えられていないのです。まだ生活習慣まで変える必要はないと思う前に、気になる症状があった場合には一度専門外来できちんと見てもらって、MCIなのかどうか、現状を把握しましょう。

 また今の生活が認知症になりやすいものになっていないかを、チェックしてみるのも重要です。多く当てはまっている人は、やはり黄色信号が灯っていると思います。できそうなものからやめてゆく、健康的なものに変えてゆくことが認知症を遠ざけてくれます。できることから少しずつ始めて、ベイビーステップを踏んでゆきましょう。

 MCI の段階で見つけることが、現状では認知症にならない唯一の方法です。もしMCI と診断されたなら、真剣に対策を立てて、本気で認知症になりにくい生活を実践してゆきましょう。その時に大切なのは、最初から全てを取り入れて変えるのではなく、自分の優先順位で選ぶことが重要であり、実践的です。0/100思考で、パーフェクトを目指すと挫折しやすくなります。

 生活習慣の改善の3つの柱は、食事、運動、睡眠です。もちろん3つとも改善するのが一番ではありますが、我々にはそれぞれ違った生活と事情があります。本当に忙しくて食事を作ることはできないとか、夜勤があるので規則正しく過ごすのは難しいとか、運動が大嫌いとか、労働時間が長すぎて睡眠時間が確保できない、など人それぞれなのです。

 食事が作れなければ、外食メニューの中で出来るだけ健康的なものを選ぶとか、運動ができなければ、やらなければいけない家事や通勤、隙間時間を工夫して今までよりも運動量を増やすとか、運動はしないけど、食事、睡眠を整えるとか、睡眠がどうしようもなければ、食事と運動は頑張るとかから始めれば良いのです。

 それでは食事から見てゆきましょう。食事に関しては、体内に炎症を起こし、脳にゴミを溜めてしまうものを減らすことが大事です。糖質や白い炭水化物は、血糖スパイクを起こし、糖化を促進し、炎症を亢進させます。砂糖や白米、小麦粉などを毎日大量に食べる生活は、認知症を起こしやすくなります。特に甘い飲み物に入っている異性化糖は毒になります。

 また添加物だらけの超加工食品や加工肉、オメガ6系の油(揚げ物、表示に植物油脂と書いてあるものなど、特に酸化した物は毒です)、トランス脂肪酸、アルコール、もちろん喫煙なども、体内で酸化を進め、炎症を起こしてしまいます。可能であれば、良い食材を組み合わせて、自炊してもらうのがベストです。野菜、海藻、タンパク質などを中心に、玄米など精製度の低い穀物を合わせて食べてゆきましょう。

 栄養不足でも認知症は起こります。いつも同じものばかり食べないことは重要です。微量なミネラルやビタミンが不足しないよう、なるべく多くの種類の食材を摂りましょう。若年性認知症のリスクとしても注目されます。カップラーメンやいつも同じ外食ばかりの生活はとても危険です。

 腸内環境が悪化すると、体内炎症は加速してしまいます。腸内フローラを善玉菌優位に保ち、リーキーガットなどにならない様に、グルテンやカゼインの摂取も控えめが良いでしょう。食物繊維の摂取が多くなると認知症になりにくくなるという論文もあります。食物繊維と発酵食品も毎日意識して摂りましょう。

 炎症を抑える食べ物として、抗酸化物質が豊富な食べ物が、認知症を予防してくれます。緑茶やコーヒー、青魚などのオメガ3脂肪酸、緑黄色野菜や果物、豆類(ナッツ)、クルクミンなどのカレースパイス、オリーブオイル、ココナッツオイル、中鎖脂肪酸オイル、赤ワイン(アルコールの適量は守りましょう)は、認知症予防になることが研究でも確認されています。好きなものを積極的に取り入れてみましょう。

 運動習慣は重要です。週2日歩くだけでも、認知症になる確率は2分の1に減少します。有酸素運動で海馬からBDNF(脳由来神経栄養因子)が分泌され、アミロイドの毒で脳細胞が死ぬのをブロックしてくれます。海馬の脳細胞を増やし、脳が大きくなることも研究で証明されています。最初は毎日数分でも良いので、散歩する習慣をつけてゆきましょう。良い睡眠の為にも朝歩くのがお勧めです。

 散歩する時間は無いと言う方には、もちろんどんな運動でも、たとえ少しでも効果があります。日常生活の中で、意識的に運動量を増やすようにしましょう。座りっぱなしの生活、特にテレビやスマホなどの時間が長くなると認知症リスクが高まります。こまめに立ち上がったり、体操したり、階段を使ったり、通勤で歩いたりしましょう。自宅で数分で終わるHIITもとても有効です。

 深く眠るノンレム睡眠中は脳のお掃除タイムです。脳脊髄液によってアミロイドは洗い流されます。しっかりお掃除の時間をキープすることが重要です。睡眠時間は個人差はありますが、できれば7時間前後は、確保してゆきましょう。良い睡眠のためには、寝る3時間前までに食事を終えることが大切です。

 それ以外には、孤独の時間を減らし人に会うこと、好きな仕事や趣味を死ぬまで続けること、歯周病を防ぐこと、おしゃれをすることなども、認知症にならないためには重要な要素です。太陽に合わせて、毎日の概日リズムを守ることが重要です。一過性のストレスは必要な物ですが、慢性ストレスはいけません。コルチゾールが脳細胞、特に海馬細胞を減らしてしまいます。

 認知症は高齢になるにつれて激増する、加齢性疾患です。認知症予防の生活は、若返りの生活でもあるのです。オートファジーを活性化し、サーチュイン遺伝子を活性化し、テロメアを縮めない生活が、認知症予防の生活になります。

 上記に加えて、カロリー制限や、16時間断食、冷水シャワーやサウナの水風呂などの寒冷刺激にトライされるのも良いと思います。ヒートショックプロテインで身体が修復されます。また歯周病のケアはとても重要です。嬉しくなくても笑顔を作って過ごせば、脳-皮膚相関によってストレスが緩和され、若返ります。

 今日は盛り沢山に書いてしまいましたが、今後医学が進んでも、脳は幹細胞などで新しくすることはできません。新しくなれば今までの貴方が消えてしまうからです。死ぬまで今使っている脳を、良好な状態に保つ生活習慣が大事なのです。自分の生活の中で出来ること、ハードルを下げながら少しでも取り入れてみましょう。

 脳のピンピンコロリに、特にこだわりがある蒼野でした!

過去ブログ:

https://blue-zone-life.com/歯周病と認知症/

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