歌と健康!

2022/06/14

 皆様は歌を歌われることがありますか? コロナ禍になって、飲みに行くこと自体ほとんど無いため、蒼野はここ数年思い切り歌った記憶がありません。以前は夜の犬の散歩の時にほろ酔いで、メロディーを口ずさむこともありましたが、愛犬が亡くなってからはその機会も無くなりました。

 今日は昭和歌謡と健康についての記事を目にして、なるほどなあと心が動いたので、歌うことの健康効果について考えてみたいと思います。歌は古来よりあり、原始時代からヒトは、楽しいときに歌い、つらさや悲しみを耐えるためにも歌ってきたと言うのは真実だと思います。歌うと喜びが増して、気分が変わりますし、ストレスを解消してくれるのは蒼野も実感します。

 これは実験でも証明されています。60歳以上の高齢者44人に好きな曲を3曲歌ってもらい、その前後で唾液の量、唾液に含まれる「コルチゾール」の量、気分の変化を調べました。その結果、歌が好きな人も、苦手で好きでない人も、唾液の分泌量が増え、唾液中のストレスホルモンであるコルチゾールが減っていることがわかりました1)。

 歌が嫌いな人でもストレスホルモンが低下すると言うのは、面白いですよね! これは表情筋とメンタルの関連によるものと考えられています。楽しいと笑顔になりますが、逆に笑顔を作ることで、気分が上がってくると言うことは証明されており、『笑う角には福来たる』と言って、昔から繰り返し伝えられてきました。( https://blue-zone-life.com/901-2/

 歌っているときは顔の表情筋、特に口の周りが動きます。楽しくないときでも、笑顔を作ると楽しい気分になるメカニズムが働くことで、コルチゾールが下がるのだと推測されています。特に懐かしい歌を歌ったりすると、その時期の幸せな記憶や楽しかったことが思い出される効果が加わって、さらにコルチゾールは下がってゆきます。

 「人は口から老いる」と言われています。使わないと筋肉は加齢と共に減少します。しゃべる機会が少なくなる高齢者では、呂律が回りにくくなったり、噛めない食品が増えたり、飲み込みが悪くなったりする口の機能低下が起こりやすいことがわかっており、オーラルフレイルと呼ばれています。

 75歳までの死因の第1位は癌ですが、75歳を過ぎると肺炎が1位になります。中でも多いのがオーラルフレイルを原因とした誤嚥性肺炎です。オーラルフレイルを予防するには、自分の歯を残すことや、表情筋や嚥下の筋肉の機能をキープすることが重要です。

 口に関する「些細な衰え」を軽視し ていると,徐々に口の機能低下,食べる機能の障害,さらには,心身の機能低下にまでつながる負の連鎖に陥ります。オーラルフレイルがある人の、要介護の新規認定は 2.35 倍,総死亡のリス クは 2.09 倍になると言われています。

 日頃から表情筋を鍛えるために、歌を歌う習慣を持つというのは、素晴らしいことです。唾液腺を包む筋肉の動きも活発になり、唾液が増えてきます。口腔内環境も良くなり、虫歯や歯周病のリスクも減ってくるため、オーラルフレイルの進行を止めることができます。
 
 実験では週4回、8週間継続して歌うことで、噛む力や飲み込む力も増していました。消化も良くなり、栄養の吸収にも良い面が出てきます。抗菌物質を含む唾液が増加する結果として、免疫力自体が上がることも証明されました。

 ストレスの発散についても、歌による素晴らしい影響が多く報告されています。大きな声を出すために、呼吸が深くなります。通常鬱々したり、イライラするとヒトの呼吸は浅くなります。呼吸が浅いと、交感神経が優位になり、ストレスが溜まりやすくなるのです。

 歌を熱唱する時は、大きな声を出します。深く息を吸って横隔膜が大きく動くと、副交感神経を優位にしてくれるのです。緊張した時に深呼吸するのはこのためです。大声で歌うことで、副交感神経のスイッチが入り、自律神経のバランスを整えてくれるのは、ストレス社会に生きる我々にとって、本当にありがたい効果なのです。

 常識的な社会人はいつも感情を抑えながら生きています。しかし長い間感情を抑制し続けるとメンタル疾患にも罹りやすくなってしまいます。そこで有効なのが、感情を動かす大好きな歌です。大きな声で感情移入しながら歌えば、抑制した感情が解放され、メンタルがリセットされるのです。

 歌で肉体も鍛えられます。腹の底から声を出す時には腹式呼吸を使う必要があります。腹式呼吸で体幹の筋肉や呼吸筋を鍛えることができます。腹式呼吸でカラオケを1曲歌うと、発声運動・呼吸運動・腹筋運動により、1曲で20kcalが消費できます。10曲歌えば1000m走るのと同じになるのです。蒼野は1000m走るより、10曲歌いたいです!

 歌うなら、声を長く伸ばすバラードの方がカロリー消費が大きくなるそうです。深い呼吸をしながら歌うことで、全身の血流が増え、酸素も行き渡ります。冷えの解消や、呼吸筋による内臓のマッサージ効果も期待され、体温が上がることで免疫力も上昇します。

 歌は脳も鍛えてくれます。歌詞を見ながら、音を外さないように歌うためには、脳の視覚野、言語野、聴覚野、運動野など様々な部分を使う必要があります。右脳の音楽中枢と左脳の言語野を連動させながら使うことで、脳はバランス良く活性化されます。これに感情まで載せれば完璧でしょう!

 歌に感情が伴うと、ドーパミンやオキシトシンやエンドルフィンなど、様々な神経伝達物質が分泌されます。中でもオキシトシンは記憶力の向上に役立つため、オキシトシンが出る歌を歌うと認知症が予防できると推測されています。10代から20代で聞いた、思い出深い歌が良いのです。それでは、カラオケを使った音楽療法に詳しい専門医が選んだ歌を紹介します。 

 蒼野は1960年生まれ、1970年代の歌で言うと、なごり雪 イルカ、夏休み 吉田拓郎、サボテンの花 チューリップ、学生街の喫茶店 ガロ、わかれうた 中島みゆき、神田川 かぐや姫、津軽海峡冬景色 石川さゆり、襟裳岬 森進一などが良いとのことです。めっちゃ懐かしい!!

 次は体力が付く歌です。高音と低音がある歌や、思わず体を動かしたくなる歌が良いそうです。例えば、また逢う日まで 尾崎紀世彦、魅せられて ジュディ・オング、春一番 キャンディーズ、君は薔薇より美しい 布施明、UFO ピンクレディー、YMCA 西城秀樹、北国の春、千昌夫、ワインレッドの心 安全地帯、大空と大地の中で 松山千春、少年時代 井上陽水などです。

 免疫力アップの歌もあります。腹式呼吸が意識しやすい歌が挙げられています。上を向いて歩こう 坂本九、もしもピアノが弾けたなら 西田敏行、バラが咲いた マイク眞木、ルビーの指環 寺尾聰、さらば恋人 堺正章、時の流れに身をまかせ テレサテン、おまえに フランク永井、糸 中島みゆき、昴 谷村新司、千の風になって 秋山雅史などになります。

 最後は気分が晴れる歌です。効率的に気分を晴らすには、異性とデュエットソングであれば、性腺刺激ホルモンの分泌を促す作用も加わり有効です。また全員で参加できるような手拍子や掛け声が入る歌が、ストレスを吹き飛ばしてくれます。

 銀座の恋の物語 石原裕次郎&牧村旬子、恋の季節 ピンキーとキラーズ、いつでも夢を 橋幸雄&吉永小百合、星降る街角 年いとうとハッピー&ブルー、いい湯だな ザドリフターズ、3年目の浮気ヒロシ&キーボー、愛の奇跡 ヒデとロザンナ、男と女のラブゲーム 武田鉄矢&芦川よしみ、365歩のマーチ 水前寺清子、きよしのズンドコ節 氷川きよしなどが挙げられていました。

 毎日の生活に『歌』って必要だったのですね! 今すぐにでも歌いに行きたくなった蒼野でした。Googleマップで一人カラオケを探してみます!

参考文献:
1)Possible benefits of singing to the mental and physical condition of the elderly:Biopsychosoc Med. 2014 May 21;8:11

参考書籍: 健康に長生きしたければ1日1曲歌いなさい     斎藤 一郎、周東 寛
      カラオケ健康法―楽しみながら、体・心・頭を元気にする法  福田 伴男
      【1日3分】認知症にならない歌う脳トレ       吉田 勝明

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