昨日は新型タバコのお話を書いたのですが、世の中の健康問題については、常に依存との関係が問題になる様な気がします。ニコチン依存、アルコール依存、糖質依存などは身体に良くないことは皆様認識されているものと思います。分かっていてもハマってしまうのには理由があるはずです。
実は依存の本当の原因は、ストレスです。現代でもストレスの大部分を占めるのが人間関係です。他人のことなんて気にしないと思えれば良いのですが、人間は弱い動物です。一人では生きることができません。群れでうまく人間関係を作り、生存してきた歴史と、それが刷り込まれた本能が残っています。
血生臭い話にはなりますが、アフリカの湖の近くで約1万年前の27人分の人骨が発見されました。そのうち10人分の人骨には、武器による致命傷の痕が残っていたのです。進化生物学者らがまとめた「同族殺し」の研究によると、哺乳類1024種類の400万件の研究から割り出したデータで、集団生活する種であれば「同族殺し」が普通に起きていることが分かりました。
ヒトの「殺人率」は他の哺乳類に比べて少し高く、霊長類全体と比べると同レベルでした。集団の中では縄張りや、社会的な問題が同族殺しを行う要因があったということです。スペイン北部からは、約43万年前の地層から、先の尖った石の様なもので頭蓋骨に穴があいた化石が見つかっており、法律のない石器時代には、人類は平均して15~20%ぐらいが、争いで殺されていたと推定している学者もいるそうです。
このように人間関係が壊れると殺されるかもしれない時代を長く過ごしてきた人間は、他人の感情を読んで、うまく行動することに、大きなエネルギーを使う本能が備わりました。蒼野も同じなのですが、他人の評価がものすごく気になったり、誹謗中傷にすごく傷ついたりするのは、生きてゆくために必要な本能だったのです。
現代社会では、気が合わない人も含め、原始時代と比べると、はるかに多くの人と付き合わなければいけません。そこで膨大なエネルギーを費やし、脳が疲労しやすいのです。脳は疲労すると報酬系のご褒美を欲しがります。そして簡単に報酬が手に入るものに依存しやすくなるという訳です。
そして簡単に報酬が得られるものが、現代には溢れています。アルコールやニコチン、糖質、薬物、ギャンブル、買い物、セックスそしてスマホです。一旦依存が形成されると、脳の回路が変化してしまい、自分の意思ではやめられない状態に陥ってしまいます。これは誰にでも起こり得ることです。依存がひどくなると、健康が脅かされるのです。
今すごい勢いで増加している依存症がスマホ依存です。他の依存症は、他人には秘密にしておきたいものが多いのですが、誰にも迷惑をかけない依存でもあり、健康に大きな影響があるということが知られていない新しい依存症なので、より問題が深刻なのです。特に30代から50代くらいの働き盛りの人の健康に影響が出てきています。
2007年にiPhoneが発売されてからまだ15年しか経っていません。地下鉄で通勤する蒼野が見ている光景は、スマホを見ている人だらけで、後は寝ているか、少数が本を読んでいるという状態です。これはもう全国何処でも見られる光景ですよね。
現代生活の中で、スマホは便利で楽しいし、メールやSNSのチェックが必要な人も多いです。スマホのアプリ自体に、脳が喜ぶ仕掛けが巧妙に用意されており、見ることで脳の報酬系が刺激され、ドーパミンが分泌します。しかしドーパミンは同じ刺激では分泌が低下してくるため、どんどんスマホ時間が長くなったり、より刺激的な物を探す様になります。
今までも何度か書かせて頂いているのですが、スマホは脳が疲れます。見れば見るほど、尽きない泉のように、情報が溢れてきます。人は全ての情報を受け取ることはできません。人間関係で疲れた脳を癒すためにスマホを見て、さらに脳が疲れるという悪循環にハマる人が出てきます。脳が疲労すると前頭葉の意思力が低下するため、だらだらとスマホを見ている時間が長くなりやすいのです。
脳疲労の状態は、ストレスから脳を守ってくれるセロトニンを消費してしまいます。脳疲労の悪循環が続くと、セロトニンは枯渇し、メンタルが悪くなります。スマホ鬱にもなりますし、脳自体の働きも悪くなるため、記憶力や集中力も低下して、スマホ認知症にもなってしまいます。
夜間もスマホを離さないことで、ブルーライトが目に入り、体内時計が狂い、睡眠の質が悪くなります。特に日本人はセロトニンの活性が低い遺伝子を持つ人が多く、ストレス、脳疲労に弱い民族なのです。自律神経が狂い、体調もどんどん悪くなります。しかしもうスマホの無い生活は、今後考えられないことも分かっています。
まずはそのリスクを知ることが重要です。依存症からの脱却は、正しい知識からです。適度なスマホとの付き合い方をマスターするのが現代人の必須項目になります。蒼野もパソコンとスマホを合わせると、休みの日などは、日中の大半デジタルと向き合う時間になっています。今は大丈夫でも、疲労を溜めない様にしないとリスキーです。
脳疲労の回復方法については次の通りです。
1、5分ほどで良いのでぼんやりする時間を作る。脳はデフォルトモードネットワークと言って、ボーッとする時間が必要です。その間に脳を整理し、疲れを緩和します。ボーッと散歩する、入浴する、コーヒーを飲むなどで大丈夫です。ぜひ意識的にゆっくり深呼吸しながらボーッとしましょう。
2、情報はある程度の所までとし、スマホと距離を置く。ネットには無限の情報があり、全てを追求するのは無理です。情報の海を泳ぎ切ることは出来ないので、ある所で泳ぐのをやめて、ぷかぷか浮かんでいれば良いのです。特にSNSなどで他人と比べて、自分を卑下したり、焦ったり、腹を立てたりするのは無意味です。スマホ鬱の原因になるため、見続けない様にしましょう。
3、自然に触れると疲れをリセットしやすくなります。1と合わせて、公園でボーッとしたり、日光浴をしたりしましょう。朝散歩はセロトニンを増やすのに最高の方法です。たまにはキャンプも良いですね! アーシングも積極的に行いましょう。
4、動物や植物と触れ合うことで、脳疲労は回復します。オキシトシンが分泌され、ストレスホルモンの過剰分泌を抑えてくれます。うちにもワンコがいるのですが、先代が亡くなってしばらく飼ってなかった時期と比べると、家族のメンタルに雲泥の差があるのに気づきます。ペットがハードルが高ければ、植物を育てるだけでも違います。毎日水をやって可愛がりましょう!
5、街や知らない所に行って、幸運な偶然を手に入れましょう! 小さなことでもセレンディピティと言って、予想外の良いことを見つけると脳が喜んで蘇ります。本屋さんで自分が必要な本に出会ったり、ちょっと美味しいものを見つけたり、ポストコロナに向けて、普段と違うことを生活に取り入れてゆきましょう。
蒼野も全てに依存しない生活は、無理ですし、楽しみが少なくなる気がしています。社会から逸脱しないように、適度に楽しみ、脳を極度に疲れさせないことが大切ですね! 先日椎茸栽培キットを買って、日に日に大きくなる椎茸に霧吹きで水をかけるのが楽しくて仕方がない蒼野でした。
参考書籍:スマホ脳の処方箋 奥村 歩
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