床暖房への憧れと最近の住宅!

2023/01/17

 年末年始、3年ぶりに実家巡りをした蒼野ですが、どちらの実家にも居間に床暖房が入っています。古い家なので他の部屋は寒かったりするのですが、一緒に帰ったうちのワンコも、気持ち良さそうに床で昼寝ばかりしていました。室温は健康長寿にとって大事なポイントです。今日は床暖房について調べてみました。

 床暖房がほんわかと気持ちが良いのには理由がある様です。冬、日向ぼっこすると気持ちよいですよね。太陽の輻射熱が波長の長い遠赤外線の形で身体の内側から温めてくれるため、皮下にある温度を感じる神経が、直接温かさを感じ、気持ちが良くなります。床暖房は輻射熱で部屋を温めるため陽だまりの様な気持ちよさが味わえます。

 暖房には輻射熱によるものと、空気を温めるものの二つがあります。前者は床暖房をはじめとして、パネルヒーターやオイルヒーター、こたつ、電気ストーブなどがあります。輻射熱で床や壁や窓、天井まで温度が上がってくると、環境全てが暖かくなるため、人間が慣れ親しんできた春の様な温かさが実現できるのです。

 空気を温める暖房は、空気の温度が上がることで、皮膚表面の温度が上がります。しかし皮下の神経まで温めようとすると、内部が温まる前に熱さを感じて気持ちが悪くなったりします。また最初のうちは暖かい空気が上に上がってくるため、頭が最初に熱くなります。頭寒足熱と言いますが、暖めたい足は最後になってしまうため、暖房をつけてから部屋の温度が均一になるまでは、快適では無いことが多くなります。

 また窓や壁などが冷たいままだと、風も起こり体感温度は下がりやすいです。内部まで暖かくなるように温度を上げると、空気の乾燥も必発です。湿度が下がれば、ウイルスが活動しやすくなりますし、喉が乾燥してウイルスの侵入が容易になります。乾燥肌になって、唇や踵もバリバリになってしまいます。そのため、ファンヒーターや石油ストーブ、エアコンなどを嫌う人も多いのでは無いかと思います。

 その点足元から暖まる床暖房は理にかなっています。こたつや電気ストーブのように狭い範囲のみを温めるものとは違って、部屋全体を温めてくれます。まず暖めたい足元から暖まる上、部屋の上下でも温度差が出来にくく、壁、天井を含めた部屋全体の温度が上がるので、陽だまりのように、春のように、気持ち良い暖かさが感じられるのです。

 今住んでいる借家には、床暖房は無いため、蒼野も改めて気持ち良さを体感しました。しかし調べてみると居間だけに床暖房を入れることは、冬の寒暖差による健康被害を防ぐ事にならないことも判明しました。科学や医学と同じで、健康に関する知見も増えて、最近は住宅事情もどんどん変化している様です。

 過去ブログで書いたように、ヒトのパフォーマンスは環境温度でびっくりするくらい変わります。オフィスの温度は22℃くらいが最も作業効率が良いですし、WHOでも冬場の住宅の室温は、18℃以上する様勧告しています。温度差が10℃以上の寒暖差はヒートショックを引き起こします。これは命にかかわる病態です。

 暖かい部屋から寒い部屋、トイレや特に脱衣所、お風呂などの温度が低い場合に、血圧の急変動が生じて心臓病や血管病の発作が起こることをヒートショックと言います。2006年のデータでは、交通事故死する人は7000人ですが、ヒートショックで亡くなる人は14000人と倍の人数でした。

 では温度差が出ないように、家全体が寒い場合の方が良いのかというとそうではありません。朝の居間の温度が18℃以下の家に住んでいる人では、総コレステロール値の人が2.6倍多く、心電図の異常所見も1.9倍多いことが報告されています。MRIの研究でも室温が低い家と比べて、室温が5℃高い家の高齢者は、脳年齢が10歳若い事も判明しています。

 2020年の全国犬猫飼育実態調査成績で見ても、外に出る猫・出ない猫の2020年の平均寿命は出ない猫の方が2.56歳も長寿ですし、屋外犬の場合、室内犬よりも寿命が2~3年ほど短いという結果が出ています。もちろん温度だけの影響では無いと思いますが、やはり環境は大事ですね!

 日本の中で1万人当たりのヒートショック死亡が多い県はどこかご存知でしょうか? 意外なことに第1位は香川県です。逆に少ないのは沖縄県で第2位が何と北海道です。沖縄は気候の影響でしょうが、北海道は住宅の作り方や室温管理の影響では無いかと感じます。温暖そうなイメージのある香川県ですが、温暖な地域での古い一戸建て住宅の室温管理はあまり意識されていなさそうです。またうどん県による血管壁の糖化も影響がありそうです。

 ということで、床暖房は確かに気持ち良いのですが、健康を考えるのであれば、家全体が暖まることの方が大事だという意見が多くなっています。床暖房のデメリットとしては、ランニングコストや初期費用、メンテナンス費用の高さが考えられます。古い家のリフォームに使うには良い方法ではありますが、最近の高断熱の家であれば、優先順位が下がっている様なのです。

 もし今から家を建てるのであれば、床暖房を入れるコストを、断熱機能を高める方に使った方が、家全体を暖かく保つことが出来ます。無垢材の自然の木を使った床にすれば、室温と共に床の温度も上がるため、足元からポカポカするそうです。床暖房は電気代が嵩むため、来客時だけの使用とし、日常使いしない人も結構おられる様です。アンケートでは築21年以上になると、半数以上が使っていないと答えています。

 断熱機能を高めた家を建てて、10〜15年毎に最新機能のエアコンを買い替えながら、気温が下がる季節になったら室温が18℃以上を保てるように、常時運転させておく全館空調が最近のトレンドです。風量も最小限となり、乾燥も防げて、最もランニングコストが掛からず、100年隅々まで暖かい家になるのだそうです。またそれが最もエコな暖房でもある様です。加湿器などで湿度を40~60%に保つことは心がけましょう。

 床暖房をトイレや浴室、更衣室なども含め全館に入れるのは、やはり不経済です。使わなければ入れる意味がありません。床暖房の耐用年数は30~50年だそうです。床を剥がして入れ替えるとなると、本当に高額の費用がかかってしまいます。また床暖房があることは、売却の際にあまりアピールポイントにもならないそうです。

 床暖房良いなあと思ったものの、現状は窓にプチプチのカーテンをして、服を工夫しながら、エアコンと加湿器で、温度湿度計を見て、冬を乗り切っている蒼野でした!

過去ブログ:

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