連休を利用して、実家の91歳の母を訪れ、家事や片付けに忙しかったため、少しブログの間隔が空いてしまいました。今日は前回の続きで、新しい認知症薬を使わなくても、認知症を進行させにくくしたり、回復できたりする方法について書きたいと思います。
令和1年の厚労省の報告によれば、認知症の有病率は、80代以上で約20%、90代になると、男性で42.4%、女性で71.8%と、特に女性では、長生きすると避けにくい疾患であることがわかります。脳細胞が一定数以上減ってしまうと発症する認知症は、老化の一部と考えても過言では無いでしょうね!
一方、50代以降の人のなりたくない病気ランキングでも、認知症は42.6%と、2位の癌 28.7%を大きく引き離し、ダントツの1位です。今までの認知症薬は、認知症に伴って減ってくる神経伝達物質を補ったり、前回説明した新薬も、神経を殺すアミロイドβを減らす事で、神経細胞の減少を少なくするといった薬です。
物忘れが進んできた人を、若い時と同じ様な脳機能に戻すと言うのは、「若返りの薬でも無ければ難しい」と、蒼野は思ってしまうのです。人生100年時代と言われる時代になり、誰もが高齢になればなるほど認知症リスクは高くなります。認知症になるのを抑制したり、遅らせたりする為には、中年期からの脳細胞を維持する生活習慣が一番重要です。
一旦認知症は発症すると、元に戻す方法はありません。患者さんと上手く付き合ってゆくしか無いのです。蒼野としては、発症する前の若い段階で、認知症を遠ざける生活習慣を知り、自分の力で、少しずつ生活を変えて、予防していって欲しいと思います。
今までも何度も書いているのですが、もう一度ここでまとめてお伝えしたいと思います。一つ目は良質な睡眠時間の確保です。日本人は睡眠不足の人が多い民族です。1日の時間の使い方として、ベッドに横になる時間を最低でも7時間は確保して欲しいです。寝付くまでに時間がかかったり、トイレに起きた時間をマイナスすると、実質の睡眠時間は6時間くらいになるはずです。規則正しい時間にすることもポイントです。
睡眠周期の深睡眠(nonREM睡眠)中に、脈拍、血圧、呼吸が安定し、成長ホルモンが増え、免疫が強くなり、脳が縮んでスペースが出来たところに、髄液が入り込んで、アミロイドβなどの脳の老廃物が除去されます。また海馬に一時的にストックされた記憶が、大脳皮質での記憶に変わるのもこの睡眠中です。認知症予防には良い睡眠をしっかり確保することはとても重要です。
過度の飲酒や、喫煙、夕方からのカフェインなどは、良質な睡眠を障害します。寝る2時間前からは、刺激的な映画や動画を見るのも良く無いですし、ブルーライトを目に入れるのも避けたいところです。ベッド上のスマホは、認知症の元かもしれません。蒼野は10月から、スマートリングで睡眠測定しているのですが、やはり多めに飲酒した日の、睡眠スコアは低く、深睡眠が減っていることも確認しています。
二つ目は、毎日の運動です。以前書いたお遍路さんの研究でも、毎日歩くことで脳由来神経栄養因子(BDNF)が上昇し、キープされます。BDNFが増えれば、記憶を司る海馬の神経細胞が増えてゆくのです。運動自体に抗酸化作用、抗炎症作用、ストレス緩和作用もあるため、アンチエイジング効果があります。
また運動は、アミロイドβを分解する酵素ネプリライシンを活性化します。30分程度の運動を週3~4回、ウォーキングやスロージョギング、自転車漕ぎなどを行えば、20年後のアルツハイマー型認知症になるリスクが約1/3に減少し、1年後の海馬は2%増えるのです。圧倒的に薬よりも効果的です。
三つ目は食事です。脳内で炎症、免疫反応が起こると、アミロイドβが溜まりやすくなります。アルツハイマー型認知症は第3糖尿病とも言われており、高血糖による炎症や、脳細胞のインスリン抵抗性の上昇が、脳機能を低下させます。体内の慢性炎症を防ぐ食事がとても重要です。
鍵になるのは腸に良い食事です。リーキーガット(腸もれ)は慢性炎症の元になります。腸活を心がけることは重要です。たっぷりの食物繊維と発酵食品で、腸の機能を高めましょう。良好な腸内細菌叢が保てれば、アンチエイジングに繋がります。善玉菌が作る短鎖脂肪酸は、体内炎症を消してくれるため、アミロイドβの蓄積を抑えてくれます。
ブドウ糖果糖液糖が入っている飲み物、たっぷりの砂糖、食品添加物だらけの食べ物(超加工食品)、小麦のグルテンや牛乳のカゼインなどは、特に中年期以降は減らしておくのが安全です。小麦の麺の摂取が108g/日増加すると、認知機能低下リスクが43%上昇するという研究があります。血糖スパイクが起こる様な食べ方は、ネプリライシンが余分なインスリンの処理に使われてしまい、アミロイドβが処理できなくなります。
アルツハイマーの予防には、炭水化物も含めた1日120g程度の糖質制限は重要です。認知機能が低下してきた段階では、糖質はインスリン抵抗性によって、脳細胞でエネルギーとして使われなくなるため、ケトン体が出来るくらいの糖質制限が効果的です。ココナッツオイルや、中鎖脂肪酸オイルを使うと、ケトン体が作られやすくなります。
食事の間隔も重要です。1日1回は最低12時間、食事時間を空けるべきです。ケトン体を巡らせるためにも、オートファジーを活性化して、神経細胞の再生を図るためにも、必要な時間です。小規模の研究では16時間のファスティングは、体内炎症を減らし、インスリン抵抗性を改善し、BDNFを増やすことで、認知症予防に寄与する可能性が示唆されています。メンタルが弱っている人は、朝食が重要ですが、元気な人であればトライする価値があると思います。
BDNFの材料になる栄養のある食べ物も増やしたいですね! 青魚に含まれるオメガ3脂肪酸、特にDHAが有効です。ナッツやアボカド、亜麻仁油、エゴマ油などを食卓に並べましょう。ターメリックに含まれるクルクミン、ベリー類に含まれるアントシアニン、ビタミンDもBDNFレベルを上げてくれます。魚を多く食べる60歳以上は食べない人よりも10年後の認知機能低下が約80~90%も低いのです。
抗酸化作用は重要です。野菜や豆類、緑茶や紅茶、コーヒー、ターメリック、シナモン、七味唐辛子、ダークチョコレートなどは、認知症に効果があると言われている食材です。飲みすぎなければ赤ワインも良いと言われます。カマンベールチーズは、マウスのBDMFを上げた研究が報告されています1)。
4つ目はストレスです。ストレスホルモン(コルチゾール)が多いと海馬細胞が死んでゆきます。若い人のひどい物忘れは、うつ病であることがほとんどです。ストレスの多い生活は、認知症リスクを高めます。簡単ではありませんが、運動し、考え方の癖を見直し、マインドフルネスを取り入れてみましょう。
5つ目は感染予防です。特に口腔ケアは大事です。歯周病は認知症の原因になります。歯磨きやデンタルフロスの利用と、やはり体内炎症を抑えることが重要です。ヘルペスウイルスの再活性化もリスクになるため、腸活で免疫力を高め、炎症を抑えましょう。
6つ目は、生活の中の毒物です。カビはアルツハイマーの原因となります。カビの胞子を吸い込まない様に、しっかり掃除と換気を行いましょう。蒼野も少しずつ実家のカビ掃除を進めています。
最後はトピックになりますが、7月8日に紹介した40Hzの光と音です。蒼野は、実家の冷蔵庫が同じ食べ物で一杯になり、3分前の話題をもう一度聞き直す母の為に、8月に「ガンマ波サウンドケアKikippa」を設置しました。毎日テレビを見ていると、40Hzの音に晒されている状態となるものです。
9月から感じているのですが、母が3分前の事を聞き直さなくなりました。また膝の痛みがなくなっていたのです。40Hzの刺激は細胞自体に働きかけて、細胞の抗酸化能を強化する可能性があります。春先に危機的に感じた母の認知機能は、なんとか踏みとどまってくれている様です。
もちろん「ガンマ波サウンドケアKikippa」の効果であるという確証はありませんが、それ以外に生活は変わっていないため、個人的には、アルツハイマーの新薬よりも「ガンマ波サウンドケアKikippa」をお勧めしたいと思います。同じ物を買いすぎて、捨てていたゴミの量が今回かなり減っていて、とても嬉しい蒼野でした。
参考文献:
1)Camembert cheese extract, a new candidate for preventing Alzheimer’s disease. Alzheimer’s & Dementia: The Journal of the Alzheimer’s Association, 2015 11(7), P880
参考書籍: アルツハイマー病 真実と終焉 デール・ブレデセン
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