見た目が若い人になる方法!

2022/05/15

 今日は老けて見えない方法について書いてみます。結論は生活習慣です。皆さんも薄々はご存じですよね! 毎日健康について調べていたら、何もかもが、食事、運動、睡眠と考え方につながることを、つくづく実感できる様になってきました。

 蒼野は62歳になりました。肌のシミが増えて、白髪も増えっぱなし、小さな文字が読みにくくなりました。人生後半戦真っ只中ですから仕方がないことなのだと思います。でも同い年の患者様を見ていても、随分老けていると思う人もいれば、メディアで見る同級の人の中には、随分若々しい人もいます。

 最近、見た目の老化についても研究が進んでいます。一つはニュージーランドの「ダニーディン」という都市で行われた研究です。1972年4月から73年3月までの1年間に生まれた1037人を、現在に至る50歳まで数年ごとに追跡し、なんと94%の参加者の、生活習慣と健康状態など45項目のデータについて調べた国際的な研究です。

 このデータを元に、米デューク大学のテリー・モフィット教授らは、参加者の954人について、ひとりひとりの「生物学的年齢」や「老化のペース」を調べて発表しました。26歳、32歳、38歳のときの、ウエストヒップ比、体格指数(BMI)、心肺機能、腎臓や肝臓の機能、テロメアの長さなど、18項目を測定し、38歳の時の「生物学的年齢」を計算しました。

 すると驚いたことに、38歳の同級生の「生物学的年齢」はバラバラでした。若い人は28歳、加齢が進んだ人は61歳と判定され、その差は33歳も違っていたのです。これは、蒼野も頷けるところがあります。今まで見た患者様で、若くして脳卒中になる様な人は、喫煙、飲酒、肥満などの要素が揃っており、みんな年よりも老けて見えたからです。

 同じ年齢でも、見た目が若い人は、「生物学的年齢」が若く、28歳と同じくらいの身体機能を持っています。38歳なのに、「生物学的年齢」が進んだ人は、定年退職する歳の人と同じくらいの見た目になり、物忘れがあって、体力が落ちている人もいると言うことです。これは健康寿命にも大きく関係するはずです。

 26歳と32歳の時のデータも活用すると、各々の老化スピードに関してもデータが出ています。61歳に見える人の老化スピードは、全体の平均の3倍、つまり1年で3年分老化していました。中には老化スピードがほとんどゼロに近い人もいたのです。30代になってから、むしろ若返った人も3人いました。女性なら美魔女と言うやつでしょうか?

 デューク大学の学生たちに、参加者たちの写真を見せて年齢を推測してもらいました。すると生物学的年齢の高い人は、低い人より年齢が高く見えるという結果が出ています。他人の目からも老けてみえると言うことです。怖いです……! これは健康で若い人を対象とした珍しい研究なので、とても貴重です。

 この研究で分かることは、老化は人によってそのスピードが異なり、それは見た目で判断できると言うことです。そして老化が早い人は、病気になりやすいと言うことも言えます。しかしその老化スピードを決めているのは、各々の遺伝子かも知れませんし、環境の影響かもしれません。

 もう一つの面白い研究があります。2015年、フィンランドのユバスキュラ大学で行われた、一卵性双生児を対象とした研究です。遺伝子が老化を決めているのであれば、同じ様に老化するはずです。環境や生活習慣が異なった場合の老化スピードが変われば、老化への影響がはっきりします。

 フィンランドでは、74~79年生まれの双子、計6000人弱が大規模なデータベースに登録されています。このうち32~36歳で、過去3年間の運動量に差があるような男性の一卵性双生児10組を選んで、健康状態を調べました。食事は同じ様でしたが、1人は運動習慣がありましたが、もう1人は、運動していませんでした。

 これらの双子たちに、持久力、体脂肪や体重、血液データ、脳MRIでの検査を行いました。2人の運動量の差は、平均で1日に45分歩くかどうかの差でした。運動量が多かった方は、平均体重が2kg、BMIが0.8、ウエストが3.3cm少なく、体脂肪率も低い傾向でした。持久力を示す最大酸素摂取量(VO2max)も多く、持久力が高いこともわかりました。

 血液データでは、インスリン感受性が高く、糖尿病を寄せ付けない傾向にあり、脳自体の大きさも若いまま、減少することなく保たれていました。同じ遺伝子でも、毎日運動すれば、メタボリックシンドロームも、認知症にもなりにくいことが分かったのです。当たり前ですが、面白いですね。

 この結果もあって、2018年に米国厚生省が「アメリカ人のための身体活動ガイドライン」を改訂しました。以前と変わらず、週に75分から150分の激しい有酸素運動(ランニングなど)か、週に150分から300分の中程度の有酸素運動(早歩きなど)+ 週2日の筋トレは推奨されています。新しいこととしては、日常生活で「もっと動いて、座る時間を少なくする」と言うことが強調されています。

 デスクワークが多くなった現代では、特に重要な指摘だと思います。蒼野も1時間に1回くらいは、立ち上がって、少し歩いたり、肩回しや身体回しの体操を行うよう、いつも患者様にお話しさせてもらいます。頭痛やめまいなども減りやすくなりますし、ちょっとした運動の積み重ねをするかしないかは、双子の研究からも思ったより大きな影響が出る事がわかります。

 双子の食事とテロメアのデータがあれば、もっと興味深いと思います。また一方が、シフトワーカーで、もう1人が太陽に合わせた生活をしていれば、睡眠の影響もわかりそうですね。しかし何年にもわたる食事のデータの収集はきっと難しいのだと思います。

 4月12日のテロメア( https://blue-zone-life.com/テロメア/ )のブログでも書きましたが、テロメアを短縮させる生活習慣は、ストレス、肥満になる食事、運動不足、喫煙と飲酒、短い睡眠です。ある意味現代の玉手箱ですね、開けて煙を浴び続けると、どんどん老化してしまいます。

 健康長寿のためには、脳も身体も衰えない事が重要です。つまり老化が遅いこと、わかりやすくは見た目が若いことがとても重要なのだと思います。と言うことで、今日も食事、運動、睡眠が重要と言う結論になってしまいました。でも本当に大切な事ですので、これからも書き続けたいと思います。

 見た目が若くなると、健康レベルも高くなります。若々しさの追求を何歳になっても諦めたくない蒼野でした!

参考文献: 

1、Quantification of biological aging in young adults    Proc Natl Acad Sci USA  : 2015 Jul 28;112(30):E4104-10. 

2、Physical activity, fitness, glucose homeostasis, and brain morphology in twins Med Sci Sports Exerc. 2015 Mar;47(3):509-18

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