コロナとインフルエンザの同時感染!

2022/10/10

 急に寒くなって、昨日は寒暖差疲労について書かせて頂きました。一昨日まで窓を開けて寝ていた蒼野も、昨日は閉め切って夏布団で寝ていたのですが、朝方寒さを感じ、今日から布団を変える予定です。寒くなって気になるのは風邪やインフルエンザですよね!。コロナも終息はまだまだ遠く、毎年流行る風邪の一つとして残って行きそうです。今日はそんな話題です。

 厚生労働省は今年の冬、新型コロナと季節性インフルエンザの同時流行の可能性が「極めて高い」との分析を10月5日に発表しました。その根拠の一つが、日本の流行予測の参考にされる、南半球のオーストラリアで今年、大流行が起きたからです。過去2年間流行しなかったインフルエンザが3万件報告されたそうです。

 もしそれが日本で起こるとすれば、発熱外来は混乱が予想されそうです。コロナとインフルエンザが混在することとなり、同じような症状ですので、どちらも調べる必要が出てきます。どちらか一方しか掛からないと決まっていれば楽なのですが、同時流行し、同時感染が起こる確率もかなりある様なののです。

 コロナウイルスとインフルエンザウイルスは潜伏期間と排菌期間が異なります。コロナウイルスでは潜伏期間が6日、ウイルス排菌期間が最大17日であるのに対し、インフルエンザは潜伏期間が2日、ウイルス排菌期間は3日と非常に短いです。インフルで発熱して外来受診した後、タミフルを飲んでも安心は出来ません。熱が下がらずに再診するとコロナにも罹っていたなんていう症例も増えてきそうです。

 発熱外来の導線は一つですので、同じ場所にコロナとインフルの患者が集まるというのはかなりリスクがあります。一つの感染で免疫力が下がっているにも関わらず、接触の可能性が高まるからです。8月末から9月にかけて、コロナの抗原検査キットはOTCが認可され、ネットなどで買えるようになりました。

 インフルの流行が予想されるのであれば、インフルエンザの検査キットも是非OTCで買えるようにしてもらいたいものです。すでにコロナとインフルの同時検査キットも作られており、薬事承認を受けています。しかし現時点では厚労省は、コロナのキットは特例的に認めたもので、インフルに関しての認可予定はないとのことなのです。

 また抗原検査キットでは、偽陰性の可能性は残っており、陰性証明には使えません。PCRで陽性の患者でも、抗原検査では63%しか陽性になりません1)。採取した日のウイルス量が少ないと陰性で出てしまうのです。自宅キットで陰性の発熱者は、インフル検査だけすればOKにはならないということです。

 コロナとインフルに同時感染するとどうなってしまうのでしょうか? 実はこれはあまり珍しいことではないようなのです。武漢で307人のコロナウイルス患者を調査したところ、そのうちの57%もの患者がインフルエンザウイルスに重複感染していたという報告があります2)。

 モルモットに対して、コロナウイルスとインフルエンザを同時に感染させると、それぞれのウイルスが肺炎を引き起こし、単独感染時よりも重症化し、それぞれのウイルス量も単独の場合と変わらないとの結果が報告されています3)。

 ウイルス干渉といって、宿主にウイルス感染が起こると、他のウイルスは感染しにくいという原理もあるのですが、実験では同じ細胞には同時感染はありませんが、肺の違う部位にそれぞれのウイルスが感染していることがわかったのです。肺のあちこちが別のウイルスでやられるのはたまりませんよね!

 ヒトの場合では、コロナウイルス感染症患者全体の0.6%にインフルエンザへの感染があったのに対して、重症患者では2.2%にインフルエンザへの感染があったとの報告があります4)。まだ多くの研究がある訳ではありませんが、同時感染は恐ろしそうですよね! すでに「フルロナ」とか「フルコビット」という呼び名も海外では一般化しつつあるようです。

 感染しない為によく言われるのが、マスク、手洗い、うがい、消毒、3密の回避であるのは、皆様もう耳タコかと思います。蒼野が思うのはオーストラリアなどの大流行は2年間はこういう感染防御処置を徹底したのが、緩んできている社会情勢が影響していないかと言うことです。流行がない間に抗体は減少しますので、インフルの感染確率は相当に上昇しています。

 感染防御処置は、日本でもコロナが流行ってからインフルエンザが激減していることもあり、インフルにもとても有効です。日本人は真面目で慎重な方が多いため、これからも今までと同じ様に暮らしてゆく人が多ければ、海外程の同時流行にはならないのではないかと思ったりもします。

 海外の成人の重複感染率は0.3%であったのに対して、小児では2.2%と約7倍も感染リスクが高かったとの研究4)もあるのですが、小児は常にマスクをするのも難しく、感染防御処置が徹底できない為ではないかとも思えるのです。外出や旅行やイベントに関しては、蒼野も賛成なのですが、ポストコロナだと浮かれて安心せず、出来るだけの予防をしておく意識が大切です。 

 オミクロン株とインフルエンザの重症化率は60歳未満ではどちらも0.03%です。しかし60歳以上ではそれぞれ2.49%と0.79%。致死率も1.99%と0.55%です。同時感染のデータはありませんが、普通に考えても重症度はアップすると思われますので、今月から始まるインフルエンザワクチンの予防接種については、高齢者は特に行っておく方が良いのではないでしょうか?

 うがいについての豆知識です。うがいは水かお茶が良いです。イソジンうがい液に関しては、論文で効果が否定されています。もちろんイソジンのヨードには抗ウイルス効果もあるため、うがいをするとウイルス量が減ります。しかし口腔内のウイルス量が減ることと、体内のウイルス量が減ることとは別のお話です。コロナの予防効果も無いため、吉村知事の勧めは当てになりません。

 論文では18~65歳の合計約380名のボランティアを、「水でうがい」「イソジンうがい薬でうがい」「何もしない」の3群に分けた冬季2カ月間の追跡で、水うがい群は何もしない群に比べてかぜの発症が40%減りました5)。しかしイソジン群には予防効果が無く、これは咽頭の正常細菌叢が破壊されたりヨードによって咽頭粘膜が障害される影響ではないかとされています。

 コロナには鼻うがいも有効です。ただの水やお茶(緑茶や紅茶)でのうがいや、塩水での鼻うがいはとても有効だと思うので、これからの季節に習慣にされると良いですね!喉の痛みには、(普通の)ハチミツが有効であると言う論文があります。一般的なのど飴には、塩素化合物であるスクラロースや、アステルパームが含まれたものがあるため、289円の「セブンプレミアム純粋はちみつ」などをカバンに入れておくのは良い方法です。

 風邪っぽい時には、1日目が勝負です。何度も書いていますが、市販の風邪薬や、総合感冒薬は免疫力を低下させるので、治療は漢方薬一択です。体を温める麻黄剤を含むものがファーストです。一般の風邪なら葛根湯を1回に2包飲んでみましょう。インフルエンザが疑われる場合には麻黄湯を1~1.5時間おきに汗が出るまで飲み続けましょう。

 漢方薬は生薬の集合体なので、有効量が少なめです。強いリスポンスのためには短時間に回数を重ねるのがコツになります。ウイルスにやられてしまう前に短期決戦で免疫力をアップし、勝負するのです。引きかけた日には無理をせず身体を温めるのがコツです。後頚部を何度も蒸しタオルで温めるのも同時にやってみてください。抜けたと思っても、身体はウイルスとの戦いで疲労困憊しているため、十分に眠り、数日は無理をしないことが重要です。

 インフルエンザは寒くなる時期から2月末くらいまでが、流行期間になります。コロナダブル感染で酷い目に遭わないよう、お互い十分に気をつけてゆきましょうね。風邪やコロナの漢方に関しては、過去ブログ参照頂ければ幸いです。ここ何年も風邪で寝込んだことのない蒼野でした。

参照文献:
1)Accuracy of Rapid Antigen vs Reverse Transcriptase–Polymerase Chain Reaction Testing for SARS-CoV-2 Infection in College Athletes During Prevalence of the Omicron Variant.  : JAMA Network Open. 2022;5(6):e2217234. doi:10.1001/jamanetworkopen.2022.17234 

2)The epidemiology and clinical characteristics of co-infection of SARS-CoV-2 and influenza viruses in patients during COVID-19 outbreak. :J. Med. Virology. 2020;92:2870–2873.

3)Co-infection with influenza A virus enhances SARS-CoV-2 infectivity. :Cell Res. 2021; 31:395- 403.

4)Co-infection of SARS-CoV-2 and influenza viruses: a systematic review and meta-analysis. :J Clin Virol Plus. 2021; 1: 100036.

5)うがいによる風邪の予防効果. :Medical Practice, 23(8):1460-1461, 2006

過去ブログ:

https://blue-zone-life.com/風邪を早く治すには!/
https://blue-zone-life.com/柴葛解肌湯!/

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