人工甘味料!

2022/08/15

 今日はノンカロリーシュガーについて、調べて書きたいと思います。蒼野も出始めの頃には、砂糖を摂るよりも、ダイエットになるのではと思い、ダイエットコーラや、糖質ゼロのビールなどを飲んでいた時期があります。現在、専門家の意見でも、身体に良い、悪いの評価は分かれていることもあり、自分が納得できるように、調べておく必要があると思ったのです。

 一口にノンカロリーシュガーと言っても、様々な種類があるようです。主な分類は、非糖質系甘味料と、糖アルコールです。非糖質系甘味料にはステビア、羅漢果、甘草のような天然甘味料と、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、サッカリン、ネオテーム、アドバンテームの6種類の許可された人工甘味料の使用があります。

 植物の葉や果実などに含まれている甘味成分を抽出した天然甘味料は、人類の使用の歴史も長く、ある程度安心できるものである様です。しかし摂り過ぎには注意が必要です。砂糖に比べて値段がしますので、多量に我々の口に入る機会はそれほど多くはありません。甘味自体はステビアでは砂糖の300倍、羅漢果では300~400倍あるため、少量の使用で済むことから、摂取カロリーは少なくなります。

 糖アルコールは、糖質に水素を還元して人工的に作られる甘味料の一種です。腸で吸収されにくい性質を持つため、沢山摂取すると、浸透圧で腸内に水分を引き込むために下痢になります。水素が還元されていることで、消化酵素が働かないのです。したがって摂取しても血糖値が上がりません。

 種類としては還元水飴やソルビトール、キシリトール、マンニトール、エリスリトールなどになります。ソルビトールはりんごやプルーンに含まれている成分です。キシリトールは、歯垢を剥がしやすくする効果を持ち、フッ化物と一緒に使うことにより、歯を硬くする効果もあることから、ガムなどに応用されています。

 エリスリトールは、ブドウ糖を酵母発酵させて作られる成分です。他の発酵食品にも含まれることもあり、食品の扱いとなっており、安全と考えられます。血糖を上げないため、蒼野もエリスリトールの粉を砂糖代わりに使っています。比較的下痢にはなりにくく、甘さは砂糖の75%程度です。砂糖の5倍の値段がしますので、その点は使いにくいかもしれません。

 一番問題になるのは非糖質系の人工甘味料です。これについては近年の研究で様々なことが分かってきました。血糖値を上げない、0カロリーにも関わらず、人工甘味料を摂ることで、逆に空腹感が増したり、糖質依存症が強くなって、かえって太ってしまったりと、心身に様々な影響が出るのです。

 健常人にブドウ糖、果糖、または3種類の 人工甘味料(アスパルテーム、アセスルファムK、 スクラロース)のいずれかを投与して血糖値、インスリンの分泌について比較したところ、人工甘味料を投与したときは、血糖値、 インスリン値ともに上昇は認められませんでした1)。

 しかし糖尿病のない35~55歳の 男性2037人について、毎年の健康診断の結果を追跡して糖尿病発症を確認、日頃のダイエット飲料の摂取量との関連を調べると、週に237ミリリットル以上、ダイエット飲料を飲む人は、飲まない人と比べて、1.7倍糖尿病発症が多くなっていました2)。

 血糖値も変わらず、インスリンも増えていないのに、糖尿病になりやすくなるというのは、不思議ですよね! これには、人類が食事で甘みを感じると、引き続き血糖が上昇するのが当たり前であることから、それに反すると、脳の反応を介して摂食行動が促進され、沢山食べてしまうことで、太るだけでなく糖尿病にもなりやすくなると推測されています。

 近年の研究で、甘みを感じるセンサーは舌だけではなく、胃や腸、膵臓にもあることが分かっています。胃にある甘みセンサーに、人工甘味料が作用すると、摂食ホルモンであるグレリンが分泌されます。グレリンが視床下部に働き、食欲を増進し、体重を増やします。

 お腹が一杯になるとグレリン濃度は低下しますが、食後の甘いデザートを食べると、甘さを胃が感じて再びグレリンが上昇します。食後のデザートが別腹で食べれてしまうのは、胃の甘みセンサーの影響なのです。そして人工甘味料も同じ反応を起こします。

 また砂糖の200倍から13000倍の甘みを持つ、人工甘味料に慣れてしまうと、味覚が狂いやすいのです。甘みは脳の報酬系に働き、ドーパミンの分泌を促します。甘いものを食べると幸せな気分になるのです。しかしドーパミンはもっともっとのホルモンなので、一時的に幸せを感じても、次にはもっと多くの甘みを欲しがる様になります。

 これが甘み依存症です。簡単に快楽につながる物質と共通のメカニズムです。覚醒剤や麻薬同様、糖質で中毒になってしまうのです。もちろん人工甘味料でも中毒が起こります。気付かないうちにそうなってしまいやすいのです。

 ダイエットをしようと思って、アルコールやジュースを、糖質ゼロやカロリーオフの飲み物に変更すると、不思議と毎日飲んでしまう様になり、そのうちに無性に甘いものが欲しくなって、間食が増え、頑張って運動しているけど、体重が減らなくなったなどというパターンは本当に多いのです。

 人工甘味料は砂糖よりはるかに強い、コカインを上回る依存性をもつことがわかってきています。摂れば摂るほど、ますます欲しくなる強い依存性があるということです。「カロリーゼロ」の飲物や食品を習慣にしてしまうと、逆に太ったり、糖尿病になったりするリスクが上昇します。

 さらに人工甘味料は、腸内フローラに影響します。マウスにブドウ糖、または人工甘味料(サッカリン)を投与した実験では、人工甘味料を投与したマウスでは、耐糖能異常が認められました3)。両群の腸内細菌叢は異なっており、人工甘味料群の腸内細菌を移植したマウスでも耐糖能異常が起こることも確認されています。

  その後、ヒトにおいても、サッカリン投与で、腸内細菌叢が変化し、耐糖能が下がり、血糖値が上がることも確認されています。その機序については、いくつか想定されていますが、まだ明らかではありません。いずれにしても、カロリーゼロを謳いながら、人工甘味料は肥満を助長する要素を持っていることを知っておくことが重要だと思いました。

 食品の安全性は、世代を超えて検証しなければ本当のところは分かりません。妊娠中の女性が「カロリーゼロ」の食品ばかりを摂り続けると、胎児に必要な栄養素が行き渡らず、出生後に栄養状態がよくなってから肥満や糖尿病、高血圧、メタボリック症候群になるリスクが高まることも報告されています。

 食品として認可されている人工甘味料は、少なくとも急性の毒性は認められないものだとは思います。ブドウ糖果糖液糖入りのジュースを飲んで血糖スパイクを作るよりは、報酬系の糖質欲を騙して満足させるために少量使うというのは、良いのかもしれません。

 しかし同じ甘いもので選ぶのならば、生の果物や、天然甘味料、糖アルコールなどを選んでおく方がベターではないかと蒼野は思っています。人工甘味料は、吸収されないと言われていますが、尿中に排泄されたり、脂肪組織に溜まっていることが発見されたりしていて、その代謝に関しても完全にはわかっていないのです。

 甘くて美味しいものは沢山あるので、人工甘味料入りの製品はなるべく口にしない様にしようと改めて心に誓った蒼野でした。

参照文献:

1)Effects of carbohydrate sugars and artificial sweeteners on appetite and the secretion of gastrointestinal satiety peptides : British Journal of Nutrition. 105、pp.1320-1328 2011

2)Sugar-sweetened beverage and diet soda consumption and the 7-year risk for type 2 diabetes mellitus in middle-aged Japanese men : European Journal of Nutrition. 53、pp.251-258, 2014

3)Artificial sweeteners induce glucose intolerance by altering the gut microbiota : Nature 514、pp.181-186. 2014

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