我が子の成績を上げる方法!

2022/09/10

 蒼野のミッションとして、日本人の認知症を減らしたいという目標があるので、脳の機能を高めるにはどうしたら良いか、ということについて知りたいと思い、色々調べています。蒼野は教育については素人なのですが、脳科学から分かる脳機能の高め方について、書いてみたいと思います。

 まず今日は、子供の脳機能の高め方です。脳も身体の一部ですので、ちゃんと働けるように、良い環境を整えるのが一番大事なこととなります。成績を上げるために、「勉強をしなさい!」と言う前に、エネルギー不足を起こさない様にしてあげる事が効果的です。

 子供の脳のエネルギー源は糖質です。文部科学省が行った調査によると、朝食を食べているかいないかで、成績に違いが出ています。外国でも数々の研究機関で、「朝食を毎朝必ず食べる子どもは、朝食を抜いている子どもに比べて、学力が高い」ということが明らかになっています。

 我々大人とは異なり、成長期の子供の脳は、大人の2倍ほどのブドウ糖を必要としています。脳内にブドウ糖を溜めておくことはできないため、常に血液で供給する必要があります。睡眠中に成長のために多くのエネルギーが使われているため、朝はすでにエネルギー不足の状態です。朝食抜きは、子供の脳にとって大きなダメージがあるのです。

 エネルギー切れの状態で午前中の授業を受けても、頭には残りません。これが1年ずっと続いたりすると、取り返しがつかないことになるのは明らかですよね! そして朝食の選び方でも差が出てしまいます。大人にとっても、動脈硬化や肥満の原因になるため良くは無いのですが、血糖スパイクを作るような朝食はNGです。

 4時間目の終わりまで、エネルギー不足にならないよう、ゆっくり血糖値が上昇して、ゆっくり下がるGI値の低い朝食を出してあげましょう。菓子パンとジュースなどのようにGI値が高い食べ物で朝食を摂ってしまうと、血糖値はジェットコースターのように上下してしまい、食後の低血糖の時には、授業は全く頭に入らないはずです。

 理想を言えば、玄米や五穀米、もち麦ご飯、全粒粉やライ麦の食パンなどが、GI値が低く頭が良くなる食材です。嫌がって食べない場合には、白米でも許容範囲です。菓子パンよりは、よほど血中のブドウ糖が長持ちしますので、和食にしましょう。実際に朝食でごはんを食べている子どもたちは、菓子パンを食べている子どもたちに比べて、IQが高いというデータが出ています。

 ご飯にふりかけだけよりも、おかずを用意し、先に野菜やタンパク質、脂質、味噌汁などを食べるよう順番も教えてあげましょう。糖質の吸収が遅くなり、血中ブドウ糖はより長持ちする様になります。かつて娘が3人いる蒼野の所でも、時々甘いパンが朝食になっていました。もう少し早く知っておきたかった情報です!

 次は睡眠です。学生時代テスト前の徹夜とかをやった事がある人もおられると思います。蒼野も思い出してみると、最後まで勉強したという達成感はあっても、成績はあまり取れなかった記憶があります。頭を良くするには睡眠と海馬の関係を知っておく必要があります。

 蒼野が医学部で勉強した時には、脳細胞は生まれた時から増えることは無く、右肩下りに減ってゆくと教えられました。しかし子供はもちろん、大人になってからでも、記憶の中枢である海馬には、神経幹細胞が存在し、新しい神経細胞が常に作られている事が発見されています1)、2)。

 成長期の子供に、睡眠は不可欠です。記憶の中枢である海馬は勉強とも深く関わっている脳です。睡眠不足になると、子供の身体にとっては大きなストレスとなります。ストレスホルモンのコルチゾールが多く分泌されるのですが、これが海馬の神経細胞を減らしてしまうのです。

 十分な睡眠が海馬を育て、増やしてくれます。近年の研究で、私たちの記憶力は、この海馬の大きさと関係していることがわかっています。これは海馬が特異的に萎縮するアルツハイマー病では、認知機能が著明に低下して行くことを考えても理解できます。子供の海馬を大きく育てるには、睡眠が本当に重要です。

 必要な睡眠時間は、アメリカの国立睡眠財団のデータによると、小学生までであれば9~11時間、中学生であれば8~10時間くらいが必要な様です。時間を決めて「時間内でできるところまで」やって毎晩21時に寝ている子と、睡眠時間を削って「目標を達成するまで頑張る」という子の成績が同じくらいというのはよくある事なのです。

 そして勉強して、すぐに寝るという勉強法は脳科学的にも正しいやり方です。特に暗記科目の勉強の効率が上がります。脳は眠っている間にその日1日の記憶を整理し、必要なものを定着させます。勉強内容の定着も、寝ている間に起こるのです。ポイントは勉強を終えたら何もしないですぐに寝る事です。

 暗記した後に、テレビを見たり、スマホを見たり、ゲームをしたりすると、脳の中で定着していない記憶が、混ぜこぜになり、せっかく勉強した内容が正しく記憶できなくなります。実際に寝る前に10分の漢字練習をすることを習慣にした子は、今までとれたことが無い満点が取れたそうです。 

 勉強の順番も、算数や理科などの論理的思考を必要な教科から始めて、寝る前に記憶科目にすると効率的ですね! これを知っていれば、一夜漬けで寝ずに勉強しても意味が無いことがわかります。蒼野も学生の時に知っておきたかったなあと思います。

 最後は運動です。これは以前も書いたのですが、運動すると海馬が大きくなります。運動でBDNF(脳由来神経栄養因子)が分泌され、これが海馬の新しい神経細胞を生成・発達させるのです。これは大人でも起こることが確かめられています。

 米ピッツバーグ大学の研究で、運動習慣のない55~80歳の男女120人を集め、ウォーキングを1日40分、週3日行なうグループと、ストレッチのみを行なうグループに分けて、1年後にMRIで海馬の体積を測り、実験開始前と比べました。ウォーキングしたグループは、海馬が2%前後も増加し、ストレッチのグループは海馬が約1.4%小さくなっていました。

 どんどん運動すれば良いのかというと、これは間違いで、ストレスに感じるようなきつい激しい運動を繰り返していると、逆に海馬は縮んでゆきます。コルチゾールは新しい神経細胞の生成を抑制してしまうのです。子供と一緒に朝散歩の習慣をつければ、運動+ストレス緩和の効果が得られるため、成績が良くなると思います。

 頭を良くするには海馬を鍛えることが重要です。海馬が大きくなれば、周囲にある、ストレスの警報装置である扁桃体や、やる気をコントロールする側坐核に働くことで、ストレスに強くなり、やる気が出て、勉強にも集中しやすくなるのです。

 子育ての時期は過ぎてしまいましたが、孫が出来たら是非教えたいと思っている蒼野でした!

参考文献:

1)Wnt-mediated activation of NeuroD1 and retro-elements during adult neurogenesis, Nature Neuroscience 12, 1097-1105. 2009

2)Wnts blow on NeuroD1 to promote adult neuron production and diversity :  Nature Neuroscience 12, 1079-1081. 2009

3)Exercise training increases size of hippocampus and improves memory : Proc Nati Acad Sci USA  108(7): 3017–3022.  2011 

参考書籍: 「賢い子」に育てる究極のコツ   瀧 靖之

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