揚げ物と死亡率!

2022/06/08

 今日は揚げ物と健康リスクのお話です。蒼野も例に漏れず、揚げ物大好きです。妻や娘たちも好きなので、鶏の唐揚げは我が家の定番メニューで、週1回くらいは食べている気がします。梅雨時のお弁当メニューも、揚げ物が多くなりがちですね。揚げ物に関する論文を見つけたので紹介してみます。

 米アイオワ大学のウェイ・バオ博士らのチームが、2019年に英国医師会雑誌(BMJ)で報告した論文です。1993年から98年にかけて、アメリカで行われた疫学調査に参加した、閉経後の女性10万6966人(50~79歳)について検討しました1)。

 揚げ物の項目は「フライドチキン」「揚げた魚や貝」「その他の揚げ物(フライドポテト、トルティーヤチップス、タコスなど)」の三つについて、アンケートに答えてもらいました。参加者を2017年まで平均18年間追跡しました。調査期間中に3万1558人が死亡し、そのうち、心臓病関連の死亡は9320人。がんによる死亡は8358人でした。

 揚げ物以外で死亡リスクに関係しそうな要因について統計学的に調整した上で、「揚げ物を定期的に食べること」と「死亡リスク」の関係を分析しています。その結果、「何らかの揚げ物」を、1日に1人前以上食べている女性は、全く食べていない人と比べて、死亡するリスクが、8%高かったのです。

 中でも「フライドチキン」を週に85g以上食べる女性は、全く食べない人と比べて、死亡のリスクは13%上がり、心臓病で死亡するリスクは12%高くなっていました。「揚げた魚や貝」を週に一人前以上食べる女性も、死亡のリスクが7%、心臓病で死亡するリスクは13%上昇していました。がんで死ぬ確率との相関は認められませんでした。

 この論文では、なぜ揚げ物で死亡率が増えるかについては、明らかにはなっておらず、更なる研究が必要とされています。蒼野もこのまま鶏の唐揚げが食べられなくなるのは耐えられないので、何とか抜け道が無いか考えてみたいと思います。

 揚げ物には、いうまでもなく油を使います。高温で揚げる事によって、トランス脂肪酸ができる事がわかっています。トランス脂肪酸摂取の危険性に関してはhttps://blue-zone-life.com/危険な食べ物%E3%80%80その3/ で書きましたのでご参照くださいね!

 また揚げ物の衣である糖質とタンパク質が高温にさらされると、終末糖化産物(AGEs)が沢山できてしまいます。こんがり焦げ茶色になっている部分に沢山含まれています。AGEsが多い食べ物によって、体内の糖化、酸化、炎症が進行すれば、老化につながり、寿命が短くなっても、不思議はないと思います。

 高温で揚げたフライドポテトやポテトチップスなどの一部の食品では「アクリルアミド」という発癌性のある化学物質ができる事がわかっています。アクリルアミドの摂取が増えれば、死亡リスクを高める可能性があると思われますが、今回の研究では、癌死亡との関係は、認められませんでした。影響するほどの量は含まれていないのかも知れません。

 アメリカの食事事情を考えると、揚げ物は自宅では行わず、ファーストフード店で食べる様です。ここで使われる油は、オメガ6主体のコーン油が多く、商売として利潤を上げるためには、劣化し、酸化したものを使っている可能性が高いのです。同じ揚げ物と言っても、油の質が違えば、健康に対する影響は異なると思われます。

 もう一つスペインの論文が参考になるかも知れません。実は2012年の論文で、男女計4万人あまりを平均11年追跡した研究2)では、「揚げ物を食べる量は、虚血性心疾患と死亡リスクに影響しない」という研究結果が出ているのです。地中海諸国では、揚げるのにオリーブオイルやひまわり油を使い、自宅で調理して食べるのが一般的なのです。

 ファーストフード店の揚げ物は、チキンナゲットなども含めて、超加工食品であることも多いと思います。数々の添加物の影響も無いとは言えないでしょうね! グルタミン酸Naが多く入っていれば、高血圧に関与し、心臓死に関与する可能性も高いと思います。

 家で揚げても、AGEsとアクリルアミドに関しては、リスクはあると思われます。しかし揚げ油は選択できるため、サラダオイルやコーン油、キャノーラ油など、遺伝子組み換えの原料から作られ、加熱によってトランス脂肪酸も出来る、オメガ6優位の油を選択しないことが、大事だと思います。

 蒼野の家では、揚げ物は無水鍋で、少量のオリーブオイルを使って、1回の調理が終わると捨てています。加熱後に置いておくと、油自体の酸化が進んでしまい、酸化油を摂ることになるからです。オリーブオイルは熱にも強く、トランス脂肪酸もごく少量しかできません。スペインの論文からも、毎日でなければ、家での揚げ物はやめなくても良いのでは無いでしょうか?

 アメリカの論文は、米国の閉経後の女性が対象の研究ではありますが、数も多く、我々も参考にできる結果では無いかと考えます。ハーバード大学の研究で、男女合わせて10万人以上を、25年間観察した研究では、週に1度以上、揚げ物を食べた人は2型糖尿病と心臓病にかかるリスクが高まることが報告されています3)。もちろん揚げ物で肥満も増加します。

 残念ですが、唐揚げ専門店やスーパーのお惣菜、お弁当や、ファストフード、コンビニなど、外食での揚げ物は避ける方が賢明のようです。たまに蒼野も食べることがあるのですが、量を食べすぎると胃が悪くなるのが分かります。揚げたてはそれなりに美味しいと思いますが、やはり揚げ物はなるべく買わないようにしたいと思います。

 鳥の唐揚げをはじめ、トンカツ、エビフライ、春巻き、天ぷら、コロッケ、カキフライ、メンチカツ、フライドポテト、揚げ出し豆腐やかき揚げなど、考えてみると蒼野は全部、大好きです。揚げ物がなくなると、食事のバリエーションはかなり減ってしまいますね! 

 自宅でオリーブオイルで揚げれば、胃がもたれる感じはありません。毎日はダメだと思いますが、今のところは週1~2回くらいを許容範囲としたいと思います(私見です。エビデンスはありません。)。皆様も揚げ方を工夫して、ほどほどに楽しんでくださいね!

 死ぬと言われても、揚げ物好きは、変わりそうにない蒼野でした。

参考文献:

1) Association of fried food consumption with all cause, cardiovascular, and cancer mortality: prospective cohort study : 2019 Jan 23;364:k5420. doi: 10.1136/bmj.k5420.

2) Consumption of fried foods and risk of coronary heart disease: Spanish cohort of the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition study : 

              BMJ 2012; 344 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.e363

3) Eating fried foods tied to increased risk of diabetes, heart disease  : https://www.hsph.harvard.edu/news/hsph-in-the-news/eating-fried-foods-tied-to-increased-risk-of-diabetes-and-heart-disease/

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