早寝、早起き、朝ごはんと運動!

2022/06/17

 今日はあらためて、脳の発達には運動と睡眠が大事だよというお話を書いてみたいと思います。特に今の子供たちの生活は、蒼野がずっと暗くなるまで外で遊んでいた時代とは全く、変わってしまっているように思うので、お子様が居られる方は、もう一度確認しておいて欲しい知識になります。

 現代は変化が激しく、年々生きてゆくのが難しい社会になっています。その中で、自ら考えて行動したり、自ら学んだりしながら、生き抜いてゆく脳を育む事が、今の子供達には、必要不可欠です。今後AI全盛の社会となれば、0から1を生み出す脳がないと、仕事がなくなる社会になると思うからです。

 脳科学的に「育脳」という言葉があります。脳細胞同士がシナプスを形成し、回路が繋がってゆくことで脳は発達します。生後間も無い時期には、シナプスは殆どありません。生後6ヶ月くらいまでに急速に増加し、1歳で最大となります。それ以降は使わないシナプスは、刈り込みと言われる過程で消えてゆき、脳内が整理され、効率的に素早く働けるように変わってゆきます。

 脳は旧皮質と新皮質という二重構造になっています。動物脳と人間脳とも呼ばれますし、平たい言葉で言えば、からだの脳とお利口さんの脳とも呼ぶことができます。脳機能を高めるには、この二つの脳を、バランスよく発達させる必要があるのです。

 生命中枢や自律神経、意識の中枢である「脳幹」と情動や本能の中枢である大脳辺縁系が、からだの脳です。食べる、寝る、姿勢を保持するなどを始めとする、生きるために必要な機能を司ります。0歳から5歳くらいまでは、この身体の脳が発達する期間です。

 お利口さんの脳は、大脳皮質です。言葉や細かい動き、勉強やスポーツなど、知能の中枢です。1歳から18歳くらいまでに発達してゆきますが、特に成長する時期は6歳から14歳くらいまでです。からだの脳が発達した前提の上に発達してゆきます。

 イメージとしては、脳は2階建てです。1階でからだの脳がしっかり発達し、2階にお利口さんの脳が造られます。1階がちゃんと造られていなければ不安定で、建物が倒れてしまいます。前頭葉の大脳皮質には、1階の本能を制御する働きがあり、1階と2階をつなぐ前頭葉が、心の脳と呼ばれる階段部分になります。心の脳は10歳以降で発達し、14歳から18歳頃が成長のピークになります。

 かつてはヒトが普通に生活していれば、脳は発達するようにできていました。他の動物と同じように、朝日が昇ったら起きて活動し、おなかが空いたら餌を探しに行き、陽が沈んで暗くなったら敵に襲われない安全な場所で寝るという生活です。

 人間は、人類史のほとんどの期間、こうしてからだの脳を発達させてきました。ですから子供たちに必要なのは、朝になったら起きて、昼は身体を動かして、お腹が空いたら食べ、夜眠くなったら寝る、という基本的な生活習慣です。特に必要十分な睡眠を取ることが重要です。

 つまり十分な睡眠をとり、「早寝、早起き、朝ごはん」という生活リズムを整え、身体を動かすといった運動習慣を身につければ、勝手に脳は鍛えられ、発達するとも言えます。朝日を浴びてセロトニンが分泌されれば、メンタルも安定し、自律神経も鍛えられます。山中 伸弥先生も、成田 奈緒子先生も、そんな生活だけで、塾も行かずに、神戸大医学部に現役合格されたそうです。

 まずは英才教育ではなく、小さな頃からの身体を使った外遊びがとても重要なのです。現代社会では、環境も急激に変化し、大人の生活も変化して、一部の子供以外の遊び方は、自宅内に変わってきているようです。最近ではコロナ禍で、さらに外遊びの機会は減っているように思います。

 2018年のバンダイの調査では、子供の遊び場は1位が自宅で92.1%で、公園42.3%の2倍でした。小学生の遊びでは遊具遊びや鬼ごっこ・かくれんぼ、51.2%、家庭用ゲーム44.8%、ごっこ遊び・ままごと等おもちゃで遊ぶ、41.5%、球技40.2%、携帯ゲーム39.8%です。時代が違いますが、蒼野の子供時代にゲームはありませんでした。

 現代の中学生の遊びは、1位 スマートフォン・携帯電話・タブレット端末・パソコン、63.3%、2位 お買い物41.0%、3位 娯楽施設(映画館、カラオケ、ゲームセンター、ボウリング場など)36.3%、4位 携帯ゲーム 35.0%、5位家庭用ゲーム 30.7%でした。

 こうしてみると、子供の生活も随分変わったなと思います。蒼野んちの3人娘が小さな時は、よく外で遊びました。今の時期には蛍を見に行ったり、アスレチックや大きな公園に行ったり、犬も連れて近くの川に入り、網で魚をすくったりしていました。バッタやカエルを捕ったり、赤とんぼを網で捕ったり、自転車に乗ったりしていたのを思い出しました。冬は雪遊びやスキーにも行っていました。ホント楽しかったなあ!

 蒼野の外来に訪れる、頭痛で不登校になっている小中学生の生活を問診すると、圧倒的に、夜型で、朝起きれない子が多いです。少なくとも蒼野が小中学校に行っている時には、学校にあまり来ない子というのは、みたことがありませんでした。時代と共に生活パターンが変わっていることが大きい気がします。

 今は地下鉄に乗っても、蒼野自身も含めて、みんながスマホを眺めています。デジタル依存というのはもう止まることは無いのかもしれませんね! しかしまだ前頭葉が発達途上の子供達が、どっぷりと依存してしまうのは、すごく怖い気がしますし、今後の社会が心配です。

 特に夜間のスマホやゲームは、夜更かししやすくなり、ブルーライトで睡眠が悪くなります。運動する時間も減りやすくなるため、脳の発達に必要な、睡眠と運動が不足します。生活リズムが保ちにくく、自律神経が乱れて、体調自体も悪くなりやすいのです。前頭葉が発達していない世代では、これを自分でコントロールすることは出来ないと思います。好き嫌いはあると思いますが、朝練のある体育会系の部活は、脳の発達には良さそうですね!

 いったん出てきた便利な物は、もう手放すことは出来ないと思うのですが、脳が普通に発達できる環境を整えてゆく必要を感じます。まずは自分のお子様からでしょう! 一緒に身体を動かしたり、自然の中に入ったりする時間を増やしたい物です。一緒に朝散歩するのはすごく良い方法だと思います。21時以降のデジタルデバイスは、引き出しにしまって鍵をかけましょう。

 と書きながらも、自分以外の人の行動を変えるのは難しいですね! 大人になったウチの娘たちも、夜間ずっとスマホをいじっています。嫌われそうで意見できません! 小さな頃の外遊びで、脳は発達していると信じたいのですが、早起きは苦手です。やはり生活習慣は、自分でしか変えることは出来ません。 

 ヒトも動物の一種です。ずっと暮らしてきた自然のリズムと一緒に生活することでのみ、生存確率を上げることができるのです。もし体調が悪いと感じておられるのでしたら、早寝、早起き、朝ごはん、そして運動を取り入れてみてください。脳の働きが良くなり、仕事のパフォーマンスも爆上がりするはずです!

 60年余り生きてきて、ようやく自分の生活リズムが整ってきた蒼野でした!

参考書籍: 山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る  成田 奈緒子 山中 伸弥

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