朝食を食べないとどうなるの?

2022/05/03

 蒼野が事故以来取り入れているダイエットは、16時間ファスティング、いわゆるオートファジーダイエットって言われているものになります。これを選択した理由としては、「オートファジー効果を利用して、事故の後遺症を改善したい」って言う気持ちからでした。

 結果として、比較するものが無いため、後遺症の治りが違ったかどうかは分からないのですが、複視は軽くなり、自分自身とても元気になった上、人生で初めて自分の腹筋を見る事ができる様になりました。自分が良かったものは人に勧めたくなります。患者様にも勧めようとしたのですが、世の中には朝食抜きなのにメタボという人が沢山いるのに気付きました。

 自分の経験も踏まえて調べてみると、16時間ファスティングのメリットを最大限にするには、幾つもの条件が必要であることや、なかなか合わずに、かえってデメリットが表面化する人もいることがわかってきたので、今日はそのことについて書いてみようと思います。

 まず蒼野の場合です。蒼野は元々、インスリンが肥満の元であり、インスリンをなるべく出さない生活習慣が、体重維持にも、健康長寿にも必要であることを知っていました。なので、10年前から糖質はたくさん摂らない生活を心掛けてきました。また、健康オタクで、マルチビタミンやミネラルのサプリも30代から、愛用しています。

 元々標準体重範囲内でしたし、運動も心がけていました。インスリンが出ない食材として、身体に良い脂質は摂る様にもしていたので、強い空腹感はほとんど感じた事がなく生活していたのです。もちろん朝食は摂っていました。しかし「朝食を食べた方が健康的と書いてある」という理由であり、すごくお腹が減って食べていた訳ではありませんでした。

 なので、オートファジーについて勉強し、傷んだ神経細胞を若返らせるために、断食を取り入れようと始めた時も、全く困った症状が出る事もなく、空腹感も皆無で、むしろ胃腸の調子は良くなりました。結果中年になって余分についた贅肉がどんどん落ちて、大学生の時の身体を取り戻す事ができたのです。

 16時間ファスティングは「空腹は最強のクスリ」という本で紹介され、中田敦彦さんのYouTube大学などでもバズり、現在流行っている様に思います。朝食を抜くだけ、16時間空けるだけで、8時間は何を食べても良いダイエットとして認知されています。しかし沢山の落とし穴があるため、かえって健康を害する結果に繋がる可能性があるので、注意が必要なのです。

 まずは朝食を抜く事についての研究から紹介します。2018年に中国で38万人のデータについて解析した研究によると、朝食を1日抜くごとに2型糖尿病の発症リスクが増加し、肥満者の割合が54%、糖尿病が16%、脂質異常症が22%高かったと報告されています。

 日本人20歳~75歳の男女約6万人について、城西大学で行われた研究では、朝食抜き&夕食が遅い人達は、肥満、メタボ、たんぱく尿(腎機能低下)、などのリスクが高いことも報告されています。フランスの研究では、夜9時半以降に夕飯を食べる人達は、乳がんのリスクが1.5倍、前立腺がんのリスクが2.2倍に上昇するそうです。

 ヒトは昼間は交感神経、夜間は副交感神経優位の生活が理想です。朝食をしっかり噛んで食べることで、スイッチが切り替わり、1日の自律神経のサイクルが整いやすくなります。午前中の方が、インスリンは出やすいため、朝食の方が血糖値は上昇しにくいと言われています。また朝食を摂ると、昼食後の血糖値も「セカンドミール効果」で緩やかになるのです。

 ここまで見ると、朝食は摂った方が良さそうですよね! なので厚生労働省が基準としている食事法は、『主食・主菜・副菜を基本にバランスのよい食事を、1日3食とること』とされています。断食に関する研究は進んでいますが、十分にエビデンスが出そろっているとはいえないのです。

 次に16時間ファスティングのデメリットが大きくなるパターンを説明します。糖質中心にエネルギーを使っている生活から、このダイエットを始めると、慣れるまでに時間がかかり、調子が悪くなったり、空腹が辛くて続けにくい人がいます。断食明けの食事も過食になりやすくなります。

 痩せるだけが目的で、このダイエットを始めると、ただ食べないだけ、カロリーを落とすだけのダイエットになりやすいのも問題です。筋肉を維持するためには、最低体重×0.8gのタンパク質が必要です。特に女性は2食で摂るのは意識がないと難しいです。またビタミン、ミネラルなども不足しがちになります。

 元々脂質エネルギー代謝の身体になっていなければ、筋肉のアミノ酸から糖新生を行う回路が活性化し、断食時間中のエネルギーとして、脂肪だけではなく、筋肉も使われてしまいます。筋肉が減りやすく、代謝が落ちるため、元の食生活に戻すとひどいリバウンドが起こります。

 食べたものが消化・吸収を経て体外に排出されるまでにかかる時間は約24~72時間、胃の中で約3~5時間、小腸の中で約5~8時間かかると言われています。16時間ファスティングは、消化管を休めるにはとても良い方法です。しかしシュガーバーニングの人が断食すると、低血糖が起こりやすくなります。片頭痛は低血糖が引き金になる場合は多いのです。

 水を飲む習慣がない人が、16時間ファスティングを行うと、食事からの水分が1回分無くなることもあり、便秘になる人がいます。空腹をストレスに感じることでも、便秘は促進されます。エネルギー不足で、運動したくなくなるとさらに助長されます。

 成長期や妊娠中はエネルギー、栄養が絶対に必要です。また糖尿病の治療中などの人は、高度の低血糖発作で倒れるリスクもありますので、16時間ファスティングはやめましょう。こうしてみると、メリットを活かすには、色々と制限があるダイエット法であることが、お分かり頂けたでしょうか?

 それでも蒼野がこの方法が良いと考える理由をお話しします。これは現代行うことの出来るダイエットの中で、ヒトの元々持っている遺伝子に一番近い食事法だと思うからです。耳タコかもしれませんが、人類は飢餓の歴史を生き残ってきました。

 何百万年も続いた、当時の食事や生活スタイルが、一番病気になりにくく、長寿に繋がるものである可能性が高いと確信しているのです。糖質は沢山は摂れません。たまたま獲れた獲物や、木の実、果物などから体脂肪を蓄え、ファットバーニングで生きてきました。もちろん1日3食食べていた原始人はいません。

 食べれない間に、筋肉が減ると獲物が獲れなくなり死んでしまいます。ファットバーニングでケトジェニックなエネルギー代謝なら、筋肉は減りにくいのです(付きにくくはなります)。血糖値の上下がなく、低血糖にもなりにくいため、お腹も空きにくく、空腹のストレスはありません。飢餓の間は、細胞の老廃物を利用して、新生し、若返るオートファジーが活性化することで、ヒトは生き延びてきたのだと思います。

 飽食の現代で、これを再現するには、単なるファスティングだけでは上手くいきません。1食で食べる糖質は40g以下、筋肉を減らさないために、蛋白質と身体に良い脂質を増やし、ケトジェニックな体質になった上で行うと、最大のメリットが得られると思います。もちろん水分を沢山摂って、毎日の運動も必須です。サプリメントや青汁なども摂っておくほうが安心です。

 蒼野は前提となる糖質制限と運動、サプリメントなどの習慣ができていたことで、16時間ファスティングのメリットを実感し、一生続けられる健康法だと思いました。でもしっかり理解した上で取り組まないと、デメリットが出やすいダイエット法かもしれませんね!

 夜遅くまで、飲んで、食べて、朝食が食べられない食生活。それは16時間ファスティングではなく、力士になる生活です。健康リスクがとても高いので、是非見直してくださいね!

 このまま原始人の身体で、飽食の現代社会を生き抜きたい蒼野でした。

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