遅延型フードアレルギー!

2022/07/17

 今日は分かりにくい食物アレルギーの話について書いてみたいと思います。ズバリ遅延型フードアレルギーです。何かしら調子が悪く、病院に行っても原因がわからないという患者様は沢山診てきており、近年の食生活の変化を見ていると、この遅延型フードアレルギーが原因になっている場合も多いのではないかと感じられるのです。

 アレルギーは、身体にとって危険なものが外から入って来たときに、その物質をやっつけようとする身体の免疫反応です。分かりやすい例で言えば、卵、大豆、牛乳、そば、えび・かになどを食べた時に出るじんましん、身体のかゆみ、呼吸困難などの症状が典型的で、皆様もご存知だと思います。

 このようにすぐに症状の出るアレルギーは、即時型アレルギー(1型アレルギー)と言われ、IgE抗体を介して反応が起こるものです。食べれば遅くとも数時間以内には症状が起こるため、原因も特定しやすく、それを食べないことで次からは防ぎやすいアレルギーになります。

 一方食べ物を食べて、半日から数週間後に症状が出てくるようなアレルギーもあります。これが遅延型アレルギー(3型アレルギー)で、IgG抗体を介して反応を起こします。症状も頭痛、めまい、うつ、などの精神神経症状、肩こり、慢性疲労など、一見食べ物とは関係しない様な症状が多いのです。海外では周知が進み、調べることもできますが、日本では認知度も低く、調べるには採血して海外まで送らなければ分かりません。

 30歳の時に突然花粉症を発症した、蒼野の経験からも、アレルギーというのは、身体が入ってきたものを異物として認識して、排除する反応が起こり始めるといきなり発症するものです。その原因が毎日食べている物であるとすると、調子が悪くなってもその食べ物が悪さをしていることに気づけないことがほとんどでしょう!

 遅延型フードアレルギーの原因となる食品例として、乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど)、卵、豆類、ナッツ類、米、小麦、酵母(イースト、パンなど)などの食品があります。毎日パンを食べたり、身体に良いと信じて、牛乳やヨーグルトを食べている人の中に、他は十分気をつけているのに不調が治らないという人がおられたりするのです。

 片頭痛治療をしていて感じるのは、血管の中の炎症が、片頭痛反応を引き起こすため、この遅延型フードアレルギーの人は頭痛を起こしやすいということです。よく食べているものをお聞きして、試しにパンや牛乳をやめてみる様お話しすると、次回の受診の時に、頭痛回数が半減しましたとおっしゃられる方が結構居られるのです

 ベースにあるのは腸の乱れです。小麦のグルテンや牛乳のカゼインなどは消化しにくいタンパク質です。ネバネバとひっつきやすく、腸管にもくっついて、リーキーガット症候群(腸漏れ症候群)を起こしやすいのです。また食品添加物や超加工食品でも腸内環境は乱れます。腸内細菌叢を多様で、健康的なものにするには、同じ物を毎日食べ続けるのはNGです。

 通常食べたものは、消化酵素で分解され、腸壁から吸収されます。特にタンパク質はまずペプチドに分解され、アミノ酸になってから吸収されることとなっています。しかし腸内細菌叢が乱れると、腸粘膜上皮の結合が保護されずに緩んでしまい、ペプチドやタンパク質の状態のまま、体内に取り込まれ、血液中に入ってしまいます。免疫系はこれを異物と判断してIgGで攻撃し、炎症を生じ、免疫複合体が出来てしまいます。場合によっては難病の原因になったりもするのです。

 例えば小麦のグルテンが未消化なまま体内に入ると、免疫炎症反応が起こりますが、免疫交差反応と言って、グルテンのアミノ酸配列に似た体内の組織(例えば小脳のプルキンエ細胞)も同時に攻撃するため、わからずに食べ続けると、小脳失調で歩けなくなる症例もあるそうです(グルテン失調症)。

 リーキーガット症候群を起こした腸は食べ物だけではなく、食べ物に含まれる添加物や合成保存料などの化学物質、環境汚染物質、重金属なども体に入りやすくなるのです。身体のあらゆる所で免疫反応による炎症が起これば、不定愁訴とも言えるような多彩な症状が出てくる上、その原因がわからないということになります。

 現代人は忙しく、若い時はお金が無くて、毎日カップラーメンとコンビニで済ませたり、家庭料理が食べれない環境の人は、毎日同じような外食が続いたりする人が多いのではないでしょうか? 腸内環境を改善する食事は、意識しないとなかなか出来ないと思います。色々やってみても体調が優れないという人はこの、遅延型フードアレルギーを疑ってみても良いと思います。

 もう一度、遅延型フードアレルギーを疑う具体的に症状について、挙げておきます。慢性疲労症候群、起立性調節障害、アトピー性皮膚炎、過敏性腸症候群、便秘、腹痛、消化不良、体重増加、コリや痛み、頭痛、めまい、不眠、喘息、むくみ、メンタルの不調などです。これらがいくつかあって、病院で調べても何も無いと言われる様であれば、原因は食べ物かもしれません。

 まずお金をかけずにできる方法としては、食事を変えることと腸活です。体内の慢性炎症を起こしやすい食べ物は分かっています。何度も書いている砂糖、小麦、牛乳です。完全に抜くのは確かに難しいということは、蒼野もトライしてみて分かっています。

 これらのうち、毎日食べているものがあれば、まずそれを抜いて3週間過ごしてみましょう。3週間あればIgGの反応は落ち着いてくるため、その食べ物に反応しているのであれば、症状が改善しやすくなります。また他の食べ物も、毎日同じものを食べないように、4日くらいのローテーションで、バランスよく食べることも重要です。

 お腹の調子が悪いので、毎日ヨーグルトを食べていても改善しないという様な場合、ヨーグルトが原因食物である可能性もあるのです。小麦を全て抜くのも大変ですが、添加物も含め、一番可能性が高いのがパンやお菓子です。麺は不純物が少ないことが多いので、抜くとすればまずは毎日食べているパンやお菓子からですね!

 毎日食べていると言うのは、それが好きだと言うのもあると思います。残念な話ですが、遅延型フードアレルギーを起こす食べ物は、同時に中毒も起こしていることが多く、中止すると一時的には食べたくてたまらない禁断症状と、離脱による不調が起こったりすることもあります。特に小麦やチーズの中毒性は有名です。

 闇雲に好きなものを片っ端から止める気にならないよ、とか何か確証がないとやめられないよ、と言う方には、まだ日本の一般医療では保険で認められていないため、実費にはなりますが、「遅延型フードアレルギー検査」を受けることはできます。蒼野が自分で体験はしていないので、情報にはなりますが、保険外診療のクリニックなどでもこの会社に依頼している様なので紹介しておきます。

 アンブロシアと言う会社のキットは、米国シアトルのラボに送られて最大で200種類以上の食品を調べることができる様です。IgGが上昇している食品が分かれば、できるだけ食卓から排除しましょう。検査キットは3~5万円台と結構お高いです。

 今まで蒼野のブログを読んで下さっている方は、砂糖、小麦、牛乳は老化にもつながることや、腸内環境の重要性については意識しておられると思います。アンチエイジングや健康長寿への道はかなり厳しいので、全部は出来なくてもできるだけというスタンスで取り組んでいただければ嬉しいです。

 肌荒れを気にして皮膚科に通う娘の「遅延型フードアレルギー検査」をするかどうか、思案中の蒼野でした。

アンブロシアホームページ:  https://www.ambrosia-kk.com

もし記事が良かったよ!と思われた方は蒼野健造公式ラインのボタンをポチッと押して、ご登録くださいね。ライン登録された方で希望される方は、オンライン面談での相談に乗りたいと思っております。