酸化について 抗酸化物質

2022/01/02

 今日は、時間もあるため、自分のおさらいと、知識の整理のために、私たちの身体の酸化について考えてみたいと思います。少し小難しい話から…..

  一般に、『酸化』とは「電子を失う反応」と定義されており、物質に酸素が化合すると、電子を取られて酸化物質となります。酸化物質は元々の物質とは、異なる性質となり、食べ物なら味や匂いが変わってしまったり、金属なら錆びてしまったりします。

 我々の身体の中で酸化が起こると、細胞が変性、障害されて正常な機能が働かなくなり、老化が進み、病気になりやすくなります。身体の酸化とは、金属の錆のように、細胞が錆びていくことなのです。

 大気中には、約20%の酸素が含まれており、生物はこの酸素を利用し生命活動を維持しています。酸素があるからこそ、ミトコンドリアがエネルギーを作ることができるのです。しかし取り込んだ酸素の約1~3%が活性化すると言われていて、この活性化した酸素が“活性酸素”と呼ばれます。

 活性酸素は、細胞伝達物質や免疫機能として働く大切な作用があります。一方で、過剰な活性酸素は細胞を傷害し、病的老化、がん、血管系疾患、神経変性疾患や、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病などの、様々な疾患をもたらす要因となります。

 もともと、人のカラダには、活性酸素の傷害から生体を防御する抗酸化防御機構が備わっています。スーパーオキシドジスムターゼ、グルタチオンペルオキシターゼ、カタラーゼと呼ばれる酵素(抗酸化物質)が体内で作られ、過剰な活性酸素の対応をしてくれているのです。 

 この抗酸化防御機構の能力を、活性酸素の産生が上回った状態が大きな問題となります。このバランスを、保つことが、病的老化や病気を防ぎ、健康長寿を達成する方法となります。

 抗酸化物質を作り出す力は、20代をピークとして、加齢とともに低下してしまいます。まず最初に、体内で作られる抗酸化物質を作るため、酵素の原材料であるたんぱく質や亜鉛、マグネシウム、セレニウムなどのミネラル類を、不足が無いように摂りましょう。

 さらに体内で作られる抗酸化物質を補助するため、普段の食事から、多種類の抗酸化物質を取り入れていくことも必要となります。太陽に照らされても瑞々しく育つ、カラフルな食材には、紫外線による酸化に負けないために、抗酸化力のある成分がたくさん備わっています。具体的には、次のような様々な物質がわかっています。

ビタミンA
供給源となるカロテノイドの摂取が重要です。緑黄色野菜に含まれるα-カロテン(人参の葉、黄ピーマンなど緑黄色野菜)、β-カロテン(人参、ほうれん草、小松菜など緑黄色野菜)、およびβ-クリプトキサンチン(温州みかん、パプリカ、柿など)は、強い抗酸化力を持っています。

ビタミンC
抗酸化力が非常に強いビタミンです。体内では作られないので、毎日摂取が必要です。1度に大量に摂取しても、余った分は尿から排泄されてしまうため、こまめな摂取も重要です。野菜、果物、芋類に多く含まれますが、熱に弱いことと、水溶性のため、洗いすぎると失われます。カット野菜や、コンビニのサラダなどでは大半が失われてしまうため、注意が必要です。

ビタミンE
抗酸化作用が強く、細胞膜のリン脂質の酸化を防ぎます。細胞膜の酸化は細胞自体を傷つけて老化させ、さまざまな病気の原因となります。ビタミンA、ビタミンCと一緒に摂取することで相乗効果があります。植物性油脂、ナッツ類、かぼちゃに多く含まれています。

CoQ10 
ビタミンと同様の働きをして、ビタミンを助ける成分です。強い抗酸化力があり、アンチエイジングに役立ちます。いわし、サバ、牛肉、豚肉に多く含まれます。

フラボノイド系ポリフェノール
活性酸素を無毒化する、植物に含まれる抗酸化物質です。
アントシアニン(赤ワイン)、イソフラボン(大豆)、ケルセチン(玉ねぎ)、カテキン(緑茶)、テアフラビン(紅茶)、セサミン(ごま)、セサミノール(ごま)など

非フラボノイド系ポリフェノール 
フラボノイド系とは化学構造が、異なりますが、作用は同じく、活性酸素を無毒化する物質です。クルクミン(ウコン)、クロロゲン酸(コーヒー)、フェルラ酸(米ぬか)など

イオウ化合物 
強い刺激臭で独特な香り成分が、抗酸化作用を発揮します。血行をよくしたり、強い殺菌力があるため、食中毒を防ぐ薬味としてもよく使われます。アリシン(にんにく)、イソアリシン(ネギ類)など

カロテノイド 
ビタミンAに変換されないカロテノイドの摂取も重要です。リコピン(トマト)、ルテイン(緑黄色野菜)、ゼアキサンチン(パプリカ、卵黄、ほうれん草、加齢性黄斑変性や白内障の予防に有効)、アスタキサンチン(鮭、いくら、エビ)カプサイシン(赤唐辛子)、フコキサンチン(昆布、ワカメ、モズク)など

ハーブ類
抗酸化力はトップクラスと言われているローズマリーやオレガノ、セージ等も料理に取り入れると効果的です。

 以上、身体に良さそうな食材ばかりですね。『そんなに色々な食材は食べれないよ』とか、『そんなに食材を揃えたり、料理したりする時間も余裕も無い』という方も多いかと思いますので、これらのサプリメントの話題も、書いておきます。

 数十年にわたる食生活研究の結果では、抗酸化物質の豊富な食物を多く摂取することが病気の予防に役立つことが示唆されています。それを元に、多くの抗酸化サプリメントの研究も行われてきました。

 しかし、残念ながら、現在までに行われた、多くの患者を対象にして、厳密に行われた臨床試験では、高用量の抗酸化サプリメントによる病気の予防効果は認められていません。高用量の抗酸化物質を摂取することと、食物に含まれる少量の抗酸化物質を摂取することとは、異なる可能性があるようです。

 蒼野が思うのは、活性酸素は、実際には、有害というよりむしろ有益な作用が多いため、人類の身体の中で作られ、今まで残ってきたのではないでしょうか。活性酸素を、必要以上に除去することは、好ましくない可能性があるのです。

 我々の身体は、長い間をかけて、自然の中で生き残ってきたブラックボックスです。薬や、高用量のサプリメントなどは、行き過ぎた反応を起こす可能性があり、結果として病気の予防につながらないように思います。

 我々の心も身体も、まだサバンナの中で、生きて抜いてきた遺伝子の命令で動いています。豊富で、新鮮な食材を、沢山の種類、摂取することが、現時点では最も安全で、効果的な、酸化予防の方法になると考えます。

 私見としては、どうしても偏った食生活しかできない時は、毎日ではなく、日替わりで様々な、ビタミンやミネラル、抗酸化物質のサプリメントを摂るのは、良いのでは無いでしょうか? かく言う蒼野も、様々なサプリメントは、食品から抽出されたものを選んで、食事と一緒に摂っていたりします。

 今日は、活性酸素を防御する方法について書きました。次回は活性酸素を発生させない生活についておさらいしたいと思います。健康のために、食事は本当に重要です。できるだけ新鮮な素材を、自宅で調理する機会を増やしてゆきましょうね! 

参考資料:

健康長寿ネット「酸化ストレス」

健康長寿ネット「抗酸化による老化防止の効果」

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