酸化について 生活習慣

2022/01/03

今日は昨日書ききれなかった、活性酸素の原因となる生活習慣と、その対策について書きたいと思います。

 呼吸で取り込んだ酸素の90%以上は、ミトコンドリアで使われます。酸素を使って成長や生存のためのエネルギー(ATP)を作っているからです。この過程で、酸素の0.1-2%が活性酸素に変わるのは避けられません。ミトコンドリアから産生される活性酸素は、ミトコンドリア自身も傷害します。傷害されたミトコンドリアからは、活性酸素の産生が増加し、加齢と共に活性酸素の産生が増えてしまうのです。

 オートファジーを活性化することで、傷害されたミトコンドリアは除去されてゆきます。断食、少食、低タンパク食、暑さ、寒さが、老化予防に重要と言われる所以です。次に生活の中での、活性酸素発生をみてゆきましょう。

ストレス

人体は肉体的にも、精神的にも、外的刺激(ストレス)によって、防御反応が起こります。原始時代には、敵に出会うことが大きなストレスでしたが、これは食われたり、逃げおおせたり、闘ったりすることで、短時間に決着がついていました。一過性であれば問題ないストレスですが、慢性ストレスは、現代人特有の問題です。

 慢性ストレスに対して、ストレスホルモンであるコルチゾールが出続ける状態となります。交感神経が優位となり、血管が収縮し、身体のあちこちに虚血が起こり、それが再還流した時に活性酸素が発生します。これに対抗するには、生活の中に運動を取り入れることが必要です。適度で定期的な運動が、コルチゾールの分泌を制御することが分かっています。メンタルの切り替え方や、自分に合ったストレス発散法もあると良いですね。 

喫煙

 タバコは、1本で100兆個もの活性酸素を発生させるといわれています。活性酸素は癌の発生を引き起こし、様々な発癌の原因となります。タバコの煙を吸うと、白血球は煙に含まれる多数の有害物質を除去しようとして、多量の活性酸素をつくります。末梢の血管を収縮させるため、虚血ー再還流による活性酸素も発生させます。また活性酸素を消してくれるビタミンCを、1本で1日の所要量の半分消費してしまうのです。

食品添加物

 ハムやソーセージなどの加工肉、カップ麺、お菓子、飲料といった加工食品には保存料や着色料のような添加物、いわゆる合成化学物質が、沢山使用されています。これらの化学物質は、活性酸素を発生させるだけではなく、体内に入ると蓄積し、除去が難しいのです。

過酸化脂質
 インスタント食品、スナック菓子、時間が経った揚げ物、何度も使われている油で揚げた物などには、過酸化脂質が含まれており、食べると一部は吸収されて、細胞膜を変性させます。肝臓で解毒される際にも、活性酸素の発生源となり、動脈硬化を加速させます。

アルコール

 体内に入ったアルコールは胃や小腸から吸収され、主として肝臓でアルコール分解酵素による代謝を受け、最終的に二酸化炭素と水に分解されて体外に排出されます。アルコール代謝時に活性酸素が発生することが知られています。沢山のめば、沢山発生します。適量を守ることが重要です。

紫外線

 太陽の紫外線を浴びると、皮膚組織に大量の活性酸素(一重項酸素)が発生します。この活性酸素がメラニン色素の形成を促進し、組織にダメージを与え、シミやソバカス、シワの原因となります。水晶体にはSODなどの酵素が存在しており、活性酸素を消去していますが、加齢で酵素機能が低下すると、白く濁り「白内障」を発症させます。

放射線

 レントゲン撮影や放射線治療で放射線を浴びると、活性酸素が発生します。原発事故や原爆などでは、発癌率の増加が報告されています。

環境汚染

 ダイオキシンや環境ホルモンなどのさまざまな有害物質の発生、自動車の排出ガスによる大気汚染も活性酸素を増やしています。大気汚染の原因となる窒素酸化物は強力な酸化物質として知られており、活性酸素を増加させる原因となります。

激しい運動

 強度が高い、激しい運動は酸素の消費量が増える分、活性酸素の発生量も増加します。しかし最近の研究では、習慣化された運動やトレーニングには、「抗酸化防御機能」を高める効果があることがわかってきました。

 定期的で適度な運動には、ホルミシス効果があり、運動で生じる活性酸素に対抗するために、抗酸化酵素が誘導され、抵抗力が高まるのです。また、軽い運動は活性酸素の発生原因となるストレスの解消にも効果があります。

 ここで問題になるのは「適度な運動習慣」です。それまでの運動習慣によって、個人差が大きいため、「適度」と感じる運動の強度や時間を見つける必要があります。感覚的には、ちょっと息が弾むと感じる程度から始めて、時間をかけて少しずつ負荷を増やしゆくのがいいでしょう。

 「適度な運動習慣」は、厚生労働省による「健康づくりのための身体活動基準2013(アクティブガイド)」で、具体的に示されています。18歳から64歳の日常生活での、身体活動(生活活動・運動)の基準は、歩行又はそれと同等以上の強度の身体活動を、毎日60分以上行うことです。歩数に換算すると1日当たり約8,000~10,000歩になります。65歳以上では1日40分以上です。

 色々な運動や生活活動例が挙げられていますので、詳しくはネットで調べてみてくださいね。いきなり目標達成を目指すのではなく、まずは1日に10分、今よりも身体を動かすことが推奨されています。

 おまけとして、食べ物の中の活性酸素を減らすには、よく噛むことが重要です。唾液に含まれる抗酸化酵素のカタラーゼ、SOD、ペルオキシターゼなどが、活性酸素を消してくれます。ジャンクなものを食べる時には、1口30回噛むと良いですよ!

参考資料: 健康長寿ネット  健康づくりのための身体活動基準

      健康長寿ネット  抗酸化による老化防止の効果

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