Amazon薬局と電子処方箋!

2022/10/24

 先日医療のデジタルトランスフォーメーション(DX)の話を書きましたが、その先鋒となる電子処方箋が来年の1月から運用を開始する予定となっています。それに合わせて現在アメリカで展開中のAmazon薬局も日本にやって来ると言われており、どんなことになるのか、現時点で予測されることについて、蒼野の私見を書かせて頂きます。

 まずは電子処方箋です。薬を貰うための処方箋を、現状の紙ではなくデジタルデータで運用しましょう、というシステムになります。複数の医療機関や薬局で過去3年間に処方された薬剤情報が、簡単に閲覧できるようになるため、様々なメリットがあるのです。

 複数の医療機関・薬局をまたいだ投薬等のチェックが簡単に行えるため、重複投与が避けられますし、販売目的で様々な医療機関を受診して、向精神薬をもらうような犯罪も行えなくなります。薬のアレルギーや禁忌薬などの情報も得られやすくなるため、安全性が高まります。

 医療機関側にとっては、処方しっぱなしで、今までは確認が難しかった調剤結果などの情報を、電子処方箋管理サービスで簡単に確認できます。自院が発行した処方箋に対する薬局の調剤結果、後発医薬品への変更などの情報確認が容易になるのです。

 薬局側も調剤結果や処方医に伝えるべき事項を、電子処方箋管理サービス経由で簡単に伝達できるようになります。特殊な使い方であったり、他院からの薬との飲み合わせが悪い場合などの疑義照会の件数も減らすことができるのは大きなメリットです。処方箋をデータとして受け取れるため、システムへの入力作業を削減できるため、業務の効率化にも寄与します。

 このサービスはオンラインでの資格認証が基盤になります。マイナンバーカードもしくは健康保険証で本人確認と同意が必要となります。しかしマイナカードが始まって6年経過しましたが、交付率はようやく5割を超えたところです。お尻に火がついたためか、2024年には、現行の健康保険証を廃止しマイナカードに一体化するという方針が打ち出されているのは、こういう事情もあるようです。

 電子処方箋を足掛かりに、将来的には、薬剤情報に加えて手術・移植や透析等の情報のデジタル化、その先にはクラウド型の個人の医療情報カルテに繋げることもできるため、医療DXの第一歩となる動きです。世界一の高齢化社会となる日本では、これを介護分野にも広げてゆく構想が練られているようです。

 日本政府のこの動きに合わせて、9月5日にAmazonが処方薬の販売事業参入を検討していると報じられると、上場している日本の調剤薬局各社の株価はほぼ全面安となりました。電子処方箋になれば、薬の受け取りはインターネットで完結するため、オンライン販売の強固なプラットフォームを持つAmazonが参入すれば、既存の調剤薬局はどうなってしまうのか、想像もつきません。

 具体的なAmazon薬局のサービスを見てみましょう。2年前から始まったアメリカでのAmazon薬局は、ウェブサイトや専用アプリで処方薬を注文し、素早く自宅に配送してくれます。医療保険での支払いももちろん可能です。

 プライム会員は二日以内に無料配送。24時間年中無休で薬剤師が患者の相談に応じてくれます。さらに自動音声認識AI 「アレクサ」が薬の管理を支援してくれます。無保険で薬を購入する場合には、ジェネリック医薬品が最大80%オフ、ブランド医薬品が最大40%オフなどの、薬の割引クーポンを配布しているようです。

 近未来的で、お得な感じもして、蒼野も使ってみたくなります。しかしこれがすぐに日本で開始される訳では無さそうです。当面は、Amazon薬局が直接販売はせず、中小薬局と組み、新たなプラットホームをつくる方向のようです。中小薬局がアマゾンと組むことにより、立地に関係なく、ネット上で患者との接点を容易につくることができるため、ウィンウィンとなりそうです。

 これは既存の店舗網を持つ大手薬局チェーンにはかなりの打撃になるかもしれません。デジタルが今まで浸透しにくかった医療業界にとっては大きな変化になるのは間違いなさそうです。コロナ禍でオンライン相談に慣れた人も多くなっており、便利な方向に向かってゆくのは自然の流れです。

 電子処方箋をもらった患者は、Amazonのサイト上で薬局に申し込みます。患者ニーズを判断し、適切な薬局をAmazonが紹介、薬局は処方箋をもとに調剤し、オンラインで服薬指導を行います。調剤薬はAmazonの配送網で、素早く患者に届けられるといったシステムになりそうです。

 患者側としては、薬局まで行って、調剤されるのを待ち、受け取るといった従来の手間が無くなります。忙しい人や、定期的に薬を飲む必要がある人にとっては、とてもメリットがある方法になりそうです。もちろん日本の大手も手をこまねいている訳ではなく、オンライン服薬指導や、即日配送サービスを事業化する準備を進めている様です。

 Amazonは自社での薬局も準備している様です。薬剤師募集の情報があり、大阪の医薬品専用物流センターにおいて、医薬品販売するために必要な、お客様への情報提供、適正販売の判断、薬機法遵守した販売のサポート等の業務に従事する薬剤師の募集を開始したとのことです。

 お金の話にはなるのですが、月額基本給は46万2500円以上だそうです。全国の薬剤師の平均月収が45万8000円程度ですが、都市部よりも地方の方が高く、最大年収で200万、月収にすると17万円弱の差があることや、病院の薬剤師は役職がつかないときには平均で32万円弱であることを考えると、都市部のAmazon薬局で勤めたい若い薬剤師は結構集まりそうです。

 あとはIT弱者の高齢者にどれだけ浸透するかですよね! 蒼野も今日肩こりが酷い70代のおばあちゃんに、スマホをしすぎてないか質問すると、スマホは持っていないとのことでした。もちろん実店舗のサービスを充実することで、今後も今ある薬局の存在意義が高まることも考えられますね。

 Amazon薬局に対抗して、アメリカの大手ドラッグストアチェーンは、オンラインと共に実店舗で、肥満など生活習慣病の改善を図るための、大手スーパーと提携した食料品やミールキットの販売、健康サービスなどを充実する方向で展開しています。

 ヨガや健康セミナーなどのイベント開催や、地域のコミュニティースペースとしての役割、地域に根付いたかかりつけ薬局として、栄養士や睡眠時無呼吸の呼吸療法士、特定看護師を配置し、慢性疾患の管理や予防接種、許可されている治療などを行えるよう、差別化を図っている様です。

 色々と頭を使う必要がありますね! 時代や体制が大きく変わる時期には、大きなビジネスチャンスも隠れていそうです。そうして少しずつ世の中は便利になってきたので、蒼野も期待を持って電子処方箋の開始を待ちたいと思います。

 まだ電子カルテではない、今の勤め先がどうなるのかが、少し心配な蒼野でした!

参照ページ: 

「アマゾン薬局」日本上陸すれば既存薬局に大打撃 「ネットで完結」便利さの裏に生じるリスク〈dot.〉  https://news.yahoo.co.jp/articles/010db8d186a76d00da68bd383983a6e0531fecfc

電子処方せん(国民向け) 厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/denshishohousen_kokumin.html

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