これからのコロナワクチンについて思うこと!

2023/05/16

 昨日の外来に、2年前にコロナワクチンを2回打ってから、目の奥の強い痛みが出て、ずっと症状が取れないという方がいらっしゃいました。場所や痛み方からは、三叉神経痛の様で、帯状疱疹ウイルスが暴れたことによる神経痛が、残ってしまっているように思いました。

 あまり詳しい知識が無かったため、調べてみると、世界の大規模研究でも、ワクチン接種による帯状疱疹発症リスクが高いとするものと変わらないとするものの両方があることが分かりました。コロナ明けでもあり、今後のワクチン接種についても参考にしたいと思い、もう少し調べてみることにしました。

 まずは帯状疱疹の解説からです。皆様は子供の頃水ぼうそう(水痘)に罹ったことがありますでしょうか? 日本人の成人では90%以上がこの帯状疱疹ウイルスに罹患し、神経根などにウイルスのDNAが残っていると言われています。加齢や疲労、ストレスなどで、免疫力が低下すると、再活性化し、帯状疱疹として発症したり、強い片頭痛や群発頭痛、頭部や顔面の神経痛として発症したりもします。

 あまり知られていないのですが、蒼野の経験では、頭部や顔面の皮疹として出なくても、ヘルペスの再活性化が、神経痛の痛みとして出てくる場合が多いと感じています。そのままだと、なかなか治りませんが、抗ヘルペス剤を投与すると3日くらいで改善するため、突然生じた後頭神経痛や、目の奥や、顔面の痛みの原因として、とても多いものだと考えています。

 帯状疱疹は、免疫力の関係で、加齢によっても多くなり、50歳以上で増加がみられ、70歳代で8.41/千人/年と最も多くなります。80歳までには3人に1人が発症すると言われています。かなりの痛みを伴うため、蒼野もなりたくない疾患です。予防のためのワクチン接種も、50歳以上で認められています。

 一方コロナのmRNAワクチンですが、イスラエルで行われた88万人規模の観察において、副作用として、心筋炎、リンパ節炎、虫垂炎、帯状疱疹などが、打たなかった人に比べて、少し増加していることが観察されています。しかしこれらの発症リスクは、コロナ感染した人の方が高いことも報告されています1)。しかし、ワクチン接種と帯状疱疹発症に関係がなかった報告では、200万人規模のワクチン接種者を対象にしたカリフォルニア大学の研究がありました2)。何とも言えない感じです。

 調べているうちに、ワクチン接種後にぶどう膜炎という病気が増えているという報告も目にしました。ぶどう膜炎は、眼球の中間層であるぶどう膜(虹彩、毛様体、脈絡膜を含む)が炎症を起こす病気です。ぶどう膜は眼球の血液供給を担当し、免疫応答を制御している部位になります。原因は様々で、自己免疫疾患、感染症、がんなどに伴うことが報告されており、再発を繰り返しやすい疾患です。重症化すると失明のリスクもあります。

 オークランド地区でぶどう膜炎と診断された3008人の患者を抽出し、8474回のワクチン接種と再発率の関係を調査しました。非感染性の原因が多く、ワクチンを打っていない時の再発率は月当たり12.3/1000人でした。これが第1回接種後20.7、第2回接種後15.0、第3回接種後12.8、第4回接種後23.9人となっていました。これをみるとワクチン接種が引き金の一つになっている可能性は高そうですね!

 昨日まで元気だったのに、ワクチン後に亡くなられたという報道をみると、蒼野も胸が痛みます。確かに滅多に無いことではあるのでしょうが、人の身体の状態は様々ですので、何らかの影響があったものと思うのが普通だと感じます。蒼野の外来に来た患者様は、製薬会社の方で、医学的な知識もお持ちのため、国にワクチンの影響であることを認めて欲しいとのことでした。

 痛みは自覚症状でもあるため、なかなか難しいかも知れませんね。患者様のことは信じてあげたいのですが、国としては、明らかな確証が無い状態では、認めるのを躊躇するのも理解は出来たりします。難しい問題だと感じました。

 コロナのRNAワクチンは、パンデミック後に急に出てきた様な印象があるのですが、1990年から30年間研究が進められてきたものの様です。インフルエンザワクチンはシーズンによって、不足する年があるように、今までの不活化ワクチンの応用では、パンデミック時に、全世界の人々に届けることはできません。

 mRNAワクチンは、ウイルスの情報を記載したRNAを体内に入れてたんぱく質を作らせ、免疫細胞を訓練してウイルスに対する免疫をつける方法のため、緊急性の高い状況でも、大量に、速やかに作れるという利点があります。今回世界的に使われたのは、これしか無かったからです。もちろん臨床試験も2回接種までは行われており、安全性と有効性が確認されています。

 コロナ初期の、外国での死亡率の高さを考えると、ワクチンの効果は大きかったというのは、蒼野は素直に納得しています。ワクチンの副作用<<<罹患後の死亡率+後遺症は明らかだと思うからです。しかし人によっては不幸なことに、ワクチンでの副反応が残る人がおられるのでしょうね!

 厚労省の発表によれば、mRNAワクチン接種を受けたあとに、確認された12歳以上の死亡例は令和5年3月12日までに、ファイザー社1,829件(100万回接種あたり6.2件)、モデルナ社224件(同2.7件)、武田社1件(同3.2件)の報告です。接種と因果関係があると結論付けられた人は1件とされています。臨床試験上安全性が高いとされていたファイザー社の件数が多いのは、特に高齢者の接種が多い事が原因かも知れません。

 今までに何度も書いたように、日本ではワクチン+罹患によって、ほぼ集団免疫は出来ているように思います。もちろん免疫があっても罹患しない訳では無いですし、後遺症のことを考えると罹患はしたくはありません。今後のワクチン接種については、個人の判断になるという事だと思います。 

 昨日の患者様を一緒に見ていた看護師さんは、3回目のワクチンの後1ヶ月でコロナ罹患、4回目のワクチンの後1ヶ月でコロナ罹患したので、もう打たないと言っていました。一見不思議な感じなのですが、ある免疫学の先生の研究によると、mRNAワクチンを打ち続けると、スパイク蛋白がその度に大量発生するため、免疫システムが反応しすぎないように、制御が掛かる可能性を指摘しています。

 制御性T細胞が活性化し、免疫抑制の抗体が増加してしまうのだそうです。帯状疱疹やぶどう膜炎が増える機序かどうかはまだ判明はしていませんが、看護師さんの例も考えると、そうかも知れないと蒼野は思ってしまいました。免疫が抑制された状態が繰り返されれば、抗体による心筋炎を始めとする各臓器の炎症、感染症の増加、癌免疫の低下、などが起こってもおかしくありません。

 蒼野は人間の自然治癒力を信じています。あまり体に影響があるもの=薬や注射や、同じ食べ物の過剰摂取、アルコールやタバコなどを摂り続けることは避けておく方が、健康でいられるという立場です。ホメオスタシスが自然に保てる生活習慣が最強だと思っています。

 先日、自治体から6回目のコロナワクチン接種の予約票が届きました。考えてみると2回以上の臨床試験は行われていない薬でもあります。医療関係者ではありますが、もうワクチンはやめておこうと決心した蒼野でした。

参考文献:
1)Safety of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine in a Nationwide Setting. ; N Engl J Med. 385:1078-90, 2021

2)Assessment of Herpes Zoster Risk Among Recipients of COVID-19 Vaccine. ;  JAMA Network Open. 5(11):e2242240, 2022

3)Navigating Coronavirus Disease 2019 Vaccination and Uveitis: Identifying the Rates and Risk of Recurrent Uveitis after Coronavirus Disease Vaccination. ; Ophthalmology. 2023 May;130(5):501-508.

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