コオロギ食の是非!?

2023/03/15

 2月末に、徳島県の給食に、コオロギパウダーが使われたという事が、話題になっている様ですね。昆虫食については、一度ブログで書いたことがあるのですが、蒼野自身としては、まだ好んで選択するという気持ちにはなれません。これからの食材として、選択の一つであることは間違い無いのでしょうが、給食というのが問題だった気がします。

 今日は昆虫食の中の、コオロギ食について調べてみることにします。コオロギを食べるという歴史は古く、東南アジア、アフリカ、中南米、オセアニアの一部の地域で、なんと20億人が食べているそうです。タイ、カンボジア、ベトナムなどでは、屋台やレストランでコオロギ料理が出されています。しかし日本では蜂の子やイナゴは食べても、食べている地域はありません。

 一部の地域では、蜂の子やイナゴが豊富だった事や、特有の食感や風味が日本人に好まれたことで、食材として根付いた可能性があります。どれも食べたことがない蒼野の私見で申し訳ないのですが、コオロギは普通に料理するとあまり美味しく無かった可能性や、イナゴに比べて土の上で生活し、様々なものを食べる習性から、細菌などによる食中毒も多かったのかもと想像してしまいます。

 ネット、SNSで炎上しているのは、気持ち的にはよく理解できます。もちろん中には食べても良いと言う方や、食べたいと言う方もおられるのかもしれませんが、一般的にはあえて虫を食べたい人は、いない様に思われます。都会で虫に慣れていなければ、虫を触るのも嫌という人は、以前よりも多いのかもしれません。

 蒼野が子供の頃、宝物として飼育していた、大好きなカブトムシやクワガタムシも、妻や娘に言わせれば、ゴキブリと変わらない様に見えるそうです。ましてはそれを食べるなどと言うのは、パウダーになっていたとしても、嫌悪感があって当然かもしれません。給食で出されて、嫌だったら食べなくて良いと言われても、みんなが食べていたら食べざるを得ない子もいたかもしれませんね。

 コオロギ食についての科学的なリスクを、挙げておきます。土の上に居る虫ですので、飼育環境がちゃんと整っていなければ、細菌、特にバチルス属やクロストリジウム属などの芽胞が含まれている場合があるそうです。芽胞は短時間の殺菌では死滅せず、100度で15分以上の加熱が必要とのことです。しかしこれはコオロギに限る話ではなく、野菜などでもあり得ます。

 漢方や民間療法の文脈で、コオロギが避妊薬として、使われたという話がある様です。そのため微量な毒の成分が入っているという話もある様なのですが、これについては科学的な根拠が無いようです。食べられている地域でも、コオロギを食べることが、健康な人に対して不妊を引き起こすという事例は報告がありません。

 ただ、エビ、カニなどのアレルギー体質の人にとっては、コオロギに同様の成分が入っているためにリスクがあります。一般にはまだ周知されていない可能性があるため、コオロギを食べてアナフィラキシーを起こす場合は、あるかもしれません。食材名としては「クリケットパウダー」と表示されていることもあるので、エビカニアレルギーの人は要注意です!

 あとは蒼野の個人的な心配ですが、日本では食べた歴史が無いことから、日本人の腸内細菌との相性がどうなのかなということがあります。国連食糧農業機関(FAO)は、昆虫食を持続可能な食料安全保障の一部として推進しています。海外では、昆虫食に対する嫌悪感が少ないこともあり、昆虫食を扱うスタートアップ企業が増えている様です。

 数年前から街中でもコオロギうどんとか、パスコが発売したコオロギパン、無印のコオロギチョコやコオロギ煎餅などは見かけるようになっています。しかしまだ少数派でもあり、我々の意識の中には、虫は衛生的に問題があると思う人が多く、見た目も嫌いというイメージが払拭出来ていません。需要と供給のバランスから、比較的高価でもあるという問題もあり、現時点では皆んなに食べてもらうというのは、時期尚早であったのかもしれません。

 前回の昆虫食のブログでも書いたように、「栄養豊富なタンパク質」「栄養素を多く含む」「エサが少なく、環境負荷が少ない」「狭いスペースで飼育可能」という昆虫食のメリットはあると思います。しかし事前に詳しい説明があった訳でもなく、自分でも食べたことが無い虫を子供に食べさせることに関しては、反対の意見が多いのでしょうね!

 地球人口は現在80億人。先進国は少子高齢化が進んでいますが、爆発的に人口増加している地域もあり、試算では100億人を超えるまでは増え続ける見込みだそうです。そのため地球環境保持や、タンパク資源としての昆虫食は、今後も検討が進むと思います。しかし虫に対する嫌悪感がある日本において、現時点ではもっと別のアプローチが検討されても良いと思います。

 現在のフードロスの問題もありますし、過食の問題もあります。最近では牛乳廃棄の問題や、酪農農家の廃業問題もあります。大豆や培養肉、海藻などからのタンパク質摂取に取り組む方が先だと思います。米や大豆など、古くから日本人が食べて来た物を利用する方が、安心ですし、皆んな賛成なのでは無いでしょうか?

 昆虫食は最終手段でも良い気がします。新しい産業にはなるのかもしれませんが、あまりに前のめりだと、利権絡みであると勘繰られても仕方がない様にも思います。いくら栄養がある物でも、食べる心理が拒否している状態では、消化管の動きもスムーズでは無くなる可能性があります。食べたいと思って、食べれる様になることが大事だと思うのです。

 100g当たりのタンパク質量が、他の肉の3倍近くであるコオロギ、飼育が容易で、成長が早く、色々なものを餌にできるため、ゴミ処理にも使えるコオロギ、少ない量の餌、圧倒的に少ない水で飼育でき、産出する温室効果ガスも圧倒的に少ないコオロギは、確かにメリットがある食材になる可能性を秘めています。

 しかし現時点では、蒼野はまだ、ちょっと怖い感じと、食べたくない気持ちもあるため、もう少し様子を見たいと思っています。それよりも日本の農業や畜産を取り戻し、改善する取り組みをお願いしたいなあ! 

 コオロギについては、あまり役に立つ論文が見つけられなかった蒼野でした。

参考ページ: 無印良品 コオロギが地球を救う?
       https://www.muji.com/jp/ja/feature/food/460936

過去ブログ:

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