遺伝子スイッチをONにする方法!

2023/04/11

 さて今日は昨日の続きです。性格や才能、嗜好や生活習慣などは、元々の遺伝子の発現の仕方によって、規定されるものが多くなりがちであることは、昨日のブログで書きました。でも元々の遺伝子が悪い、例えば癌になりやすい強力な遺伝子の持ち主が、必ず癌になるかといったら違います。

 遺伝子のスイッチをON-OFFするエピゲノムというものがあります。これは遺伝子の配列自体を変えませんが、遺伝子の発現を調節することができるものです。エピゲノムは環境要因や生活習慣、個人の経験などによって影響を受けるのです。これは人間の可能性であり、適応能力の元になるものです。

 生化学的には、DNAのシトシン塩基にメチル基が付加され、遺伝子の発現が抑制される『DNAメチル化』と、ヒストンと呼ばれる核の中のタンパク質に化学的修飾が加わり、クロマチン構造(DNA+ヒストン)が変化して遺伝子の発現が調節される『ヒストン修飾』がその主な二つです。これをエピジェネティックな修飾と呼びます。

 我々の手持ちのDNAは母親と父親から半分ずつもらった物です。しかし環境を変えたり、新たな経験を繰り返したり、生活習慣を変えたりすることによって、DNAの発現が変わり、『私たちは、いつからでも、何者にでもなれる!』のです。

 蒼野自身、2年半前に遺伝子発現が変化したと感じています。頭部を強打し、頭蓋骨が割れ、手術を受けることになった事故がその始まりです。それまでの蒼野は、月曜から土曜日まで、忙しいけど給料の良い仕事に従事し、毎日曜日、祝日はゴルフに熱中していました。しかし事故の後遺症で複視が残り、ゴルフも、車の運転もやめてしまいました。

 もう人生楽しいことは無いかもなどと、気持ちも暗くなり、職場もクビになり、途方に暮れていたのです。複視を起こしている外転神経障害の治癒に悪いからと、毎日飲んでいた飲酒をやめ、交通機関での移動となり、仕方なく歩く様になりました。最初は体力的に半日の勤務がやっとで、自由に使える時間が増えました。

 それまでの目標は、ゴルフで片手シングルになる事でしたが、複視で遠近感もなくなり、グリーンが読めないため諦めました。せっかく神様に残してもらった命なので、今出来る事で世の中の役に立って死のうと思うように気持ちを切り替えました。健康情報を中心に、様々な情報に興味が湧く様になり、身体の為になると納得できる生活習慣を実践する様になり、嫌いだった筋トレも始めました。

 今考えると自分自身が随分変わったと思います。事故で出来ることが減り、生活習慣が変わった事で、面倒くさかった勉強や、文章を書くことが楽しくなりました。忙しかった頃の睡眠不足や運動不足が解消し、当直をしなくなって生活リズムが安定しました、元々食べ物にはこだわっていましたが、さらに気をつける様になりました。自分でも本当に過去と同じ人とは思えません。

 人は事故や大病、大切な人の死などを機に、人格が変わるという話はよく聞きますよね!人類が持っているエピジェネティックな変化は、その時々の状態に適応するために、発現するのだと思います。もちろん皆様に事故や病気や不幸などを勧めている訳では無いですよ! でも人生の節目は、人の遺伝子発現を変えるきっかけになると思います。

 私たちの遺伝子のデフォルト(初期設定)は、身の安全の確保です。リスクを考えて動くように出来ています。ですから自分が知らない新しい事は、なかなか取り入れることが出来ません。失敗したらどうしようとか、この辺でやめておこうということを選択しがちなのです。コンフォートゾーンの外に出なければ、今までの遺伝子が作ってきた人生が続いてゆきます。

 大谷翔平さんや、藤井聡太さんは、天才と呼ばれるかもしれません。しかし遺伝子的には我々と0.1%、つまり誤差範囲の違いしか無いはずです。しかし天才と呼ばれる人が、毎日考えていることや生活習慣は、我々とは大きく違っています。基本にあるのは、それが大好きで、極めたいと思っているというメンタルだけなのです。

 一つのことに集中していると、脳幹網様体が、雑多な情報の渦の中から、その時に自分が必要な情報だけを拾い上げてくれます。ニュートンがりんごが落ちるのを見たり、アルキメデスが風呂に入っただけで、法則を発見したのは四六時中その事だけを考えていたからこそ、ある時パッと閃いたのです。ナポレオンヒルの「思考は現実化する」というのも、強く思い続けることで、遺伝子の発現が、変化する事を意味しているのだと思います。

 物事に熱中すること、そしてそれが大好きで、寝ても覚めてもそのことを思い続け、簡単には諦めきれずに、ずっと続けることによって、少しずつそれに必要な遺伝子=潜在能力がONになってゆくのです。物事は、1万時間熱中できれば、プロになれると言います。1日8時間の土日休みで5年かかります。これは嫌だったら出来ませんよね!でもその間、見返りもなく継続出来る人はプロになれます。

 自分は大谷や藤井でも無ければ、ニュートンやアルキメデスでも無いと思われるのはごもっともです。でも我々の遺伝子発現を簡単に変える方法があります。それは遺伝子の良い面、潜在能力をONにして生きている人との交流です。目的をもって積極的に生きている人は魅力的ですよね!一緒に時間を過ごすことで真似をしたいと思う気持ちが、自分の潜在能力を引き出します。

 人間は社会的な動物です。現代で1人で何かを成し遂げるのは不可能です。どんどんAIも発達して、もう知識では個人を超えてしまいました。人に残されているのは、新しいことを閃くということになります。その為には色々な考え方や、自分にないものを持った人と組むことが重要なのです。AIは質問したことには多くの情報で答えてくれますが、全く関係のない領域の考え方を融合する事はできません(現時点では)。

 メンタルの持ち方は本当に大事です。メンタルの持ち方は潜在意識への働きかけ方です。まだやってない事ができると思えば、できるための遺伝子がONになり、できないと思えばOFFのままになります。子供の頃からの願望を強く持ち続ければ、実現確率は上がります。何事もプラスに考える事が大事なのです。

 また期限を切ったり、最初に身銭を切ったりすることも、遺伝子の発現を変えることに役立ちます。窮鼠が猫を噛むのは、もともとその能力を持っていて、切羽詰まってその遺伝子がONになるのです。火事場のバカ力と言いますが、メンタルが追い詰められた時、遺伝子は一時的にONとなり、アドレナリンをはじめとするホルモンが一挙に放出されるのです。

 最近蒼野が感じている、健康に対するエピジェネティックな修飾に影響する要素は、食事、運動、睡眠、そしてメンタルです。悪い生活をしていれば、発癌遺伝子などの、病気の遺伝子がONになります。運動しなければ、筋肉を大きくする遺伝子はOFFになります。メンタルで言えば効くと信じて飲んだ薬は、たとえ小麦粉だったとしても、効くのです。

 人は加齢と共に、若者遺伝子のスイッチがOFFになり、老人遺伝子がONになり、長寿遺伝子が減ってきます。でもこれも、ある程度は生活習慣でコントロールすることができるのです。本当に面白いですよね! どんどん自分の遺伝子のスイッチを切り替える人生って、ワクワクしませんか?

 ここ数年はこれまで以上に、技術の進歩によって急速に社会が変わる時代だと思います。合わせて自分の遺伝子のスイッチを入れ替えてゆくことが求められる時代でもあります。もう63歳になってしまいましたが、蒼野はまだまだスイッチを変えてゆきたいと思っています。皆様も一緒に変えてゆきませんか! 

参考書籍: 命(いのち)のバカ力(ぢから)  村上和雄

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