アイスクリームの選び方!

2023/07/30

 昨日の外来で、頭痛精査で来院された、蒼野と同い年の女性患者様の脳MRIを撮影しました。デスクワークの事務仕事なのですが、最近部署変更で、慣れない仕事のストレスもあるそうです。血圧も160/90mmHg台に上がっていました。幸い頭蓋内に頭痛の原因は無かったのですが、脳の微小な血管が詰まって起こる変化や、微小出血を認め、小血管がかなり傷んでいる様子です。63歳としては、強い変化なので、脳卒中に繋がらないようアドバイスが必要です。

 そこで、蒼野としては生活習慣について詳しく問診します。運動はフィットネスでダンスをしているとのことで合格。食事については朝はパンですが、野菜は意識して食べている様子です。お通じは二日に1回、少し見た目はぽっちゃりですので、よく聞いてみると、甘いものは控えるようにしているけど、好きなので毎日アイスを食べるということでした。

 今までアイスと健康の関係について、詳しく調べたことが無かったため、これは気になります。次回、正確なアドバイスのためにも調べてみる事にしました。アイスクリームは暑くなると特に美味しいですよね!蒼野も大好きですが、毎日は食べていません。毎日食べるとなると、やはり成分も気になります。

 市販のアイスクリームは、 乳固形分と乳脂肪分の割合で4種類あることを、蒼野は初めて知りました。まずその4種類について解説します。乳固形分とは乳製品に含まれる水分以外の成分で、その中に乳脂肪分を含みます。その含有%によって、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓の4つに分類されるそうです。

 アイスクリームは、乳固形分15.0%以上、かつ乳脂肪分8.0%以上含まれるものです。一番濃厚な味わいになります。例えばハーゲンダッツバニラは乳固形分25.0%以上、乳脂肪分15.0%以上です。Lady Bordenは乳固形分23.0%以上、乳脂肪分14.0%以上、PARMチョコレートは乳固形分15.0%以上、乳脂肪分8.0%以上とギリギリです。いずれも値段は高めのものになります。

 次にリッチなのがアイスミルクです。乳固形分が10.0%以上、乳脂肪分が3.0%以上含まれているアイスになります。脂肪分が少なくなるので、パーム油から作る安価な植物性油脂が含まれる確率が増えます。雪見だいふくやジャイアントコーン、たい焼きアイスなどがアイスミルクです。

 ラクトアイスは乳固形分3.0%以上あれば表示できます。乳脂肪分の基準はありません。コクではなくさっぱりとした、しゃりしゃり感が特徴です。添加物は必ず含まれています。スーパーカップや爽、クーリッシュなどがラクトアイスになります。蒼野もゴルフ帰りには、片手で食べれて汚れないため、夏にはコンビニでクーリッシュバニラをよく買っていました(💦)。

 最後は氷菓です。これには牛乳成分の基準がなく、シャーベットやアイスキャンディー、カキ氷などになります。あずきバーやガリガリくんなどがコレにあたります。4つのアイスに含まれる、トランス脂肪酸ですが、100gあたりの含有量は大きな差はありませんでした1)。アイス1個とマヨネーズ大匙一杯のトランス脂肪酸量はだいたい同じくらいになります。

 アイスに関しては、植物油脂と表示があると、すべてトランス脂肪酸という訳ではないようです。パーム油は植物油の中でも、30℃以下では固まる油です。水素添加や高熱での加工はあまりされていないために、予想外にトランス脂肪酸の含有は少ないようなのです。しかしパーム油の酸化防止剤はラットで発がん性が認められています。

 アイスは好きだけどカロリーは気になるという人は、人工甘味料が使われているアイスを、カロリーで選びがちです。スクラロースやアセスルファムK、サッカリンやアスパルテームなどは砂糖の何百倍も甘いため、同じ甘さでもカロリーを下げることが出来ます。

 人工甘味料自体のカロリーはほとんど無く、それだけで太る事はありません。しかし以前のブログでも書きましたが、ダイエットのために使い続けると、我々の遺伝子は新しすぎる人工甘味料に対して、おかしな反応を起こしてしまいます。

 満腹ホルモンのレプチンを過剰に分泌させ、視床下部にレプチン抵抗性を作ってしまうため、満腹を感じなくなってしまいます。結局食欲が増進して、食べすぎてしまうのです。また砂糖に比べると甘すぎるため、我々の舌は甘みを感じにくくなってしまいます。他の食品の甘味が足らないと感じるようになると、より甘い食品を選びやすくなります。

 また糖質中毒と同じく、人工甘味料でも、その甘さで脳の報酬系からドーパミンが放出されます。すると依存が生まれやすくなるのです。この甘さを体が欲して無意識に人工甘味料を摂取するようになります。ドーパミンを出すためにもっとアイスが食べたくなるのです。

 舌や胃で、甘さを感じると、身体はインスリンを用意して、糖を細胞に取り込んでエネルギーを確保しようとする反応が起こります。インスリンは体内の糖分を脂肪に変えるため、低カロリーにも関わらず、太りやすくなるのです。またいつも人工甘味料を摂っていると、インスリン自体の働きが悪くなる、インスリン抵抗性が起こります。

 人工甘味料は、腸内細菌のバランスにも影響し、血糖が下がりにくくなる作用も報告されています。血糖が上昇し、インスリン抵抗性が出てくるというのはまさに二型糖尿病の始まりです。もちろん砂糖や葡萄糖果糖液糖がたっぷり入ったアイスは、もっと悪いのですが、いずれにしても毎日アイスを食べるのは、最終的には動脈硬化につながり、脳の小血管に影響が出てきていてもおかしくない事が分かりました。

 基本に戻りますと、アイスクリームは糖分が多いため、太りやすく、脂肪肝を起こし、血管を痛めやすい食べ物の一つです。酸化や糖化の原因にもなるため、老化が進みます。患者様には冷凍ブルーベリーなどのベリー類や、冷やした青バナナなどに変えるようお勧めしました。たまに食べるには添加物フリーの物を選ぶ方が良さそうです。

 食べると身体や内臓を冷やすため、確かに夏は欲しくなりますが、毎日食べると代謝や血流が下がり、胃腸の機能低下も起こりやすくなります。身体の冷やし過ぎにも注意して夏を乗り切りましょう。それでは健康に良さそうな、無添加のアイスを検索してみたので紹介します。

 楽天で、無添加アイスクリームを検索すると出てくるのは、いずれも贈答用みたいです。どれも1個が500~600円しますので、これなら毎日は食べれないですね! しかし現実的ではないのでもう少し安いものを紹介します。基本的には、氷菓かアイスクリームの表示の物が、添加物が少ないようです。食べるなら昔からの食材で作られたものを選びたいものです。一手間かけて、手作りにすると、コストも品質も解決するのは間違いないですね。

 八ヶ岳南牧村契約牧場しぼりたて牛乳バー(75円)、八ヶ岳南牧村契約牧場しぼりたて牛乳モナカ(90円)、十勝あずき(70円)はシャトレーゼで買えます。店舗にもオンラインにもあるようです。井村屋あずきバー(110円)も無添加でした。成城石井アイスクリームは無添加ない上、乳脂肪が高く濃厚の様です。ナチュラルローソンでも買えるそうです。天下のハーゲンダッツも、ストロベリーやグリーンティーは無添加です。添加物使用の物もある様なので原材料表示で確認しましょう。

 無添加と言っても、糖質量は一個で20~30gと多めです。毎日食べるのはやはりNGですね。患者様の動脈硬化は、アイスだけのせいではないとは思いますが、減らしてゆくようお話ししたいと思います。甘いものは週一回くらいにして、レモンを絞った炭酸で夏を乗り切りたい蒼野でした。

参考ページ
1)食品に含まれるトランス脂肪酸の評価基礎資料調査報告書  内閣府食品安全委員会 P45
  https://www.fsc.go.jp/sonota/kagaku4-toujitusiryou.pdf

過去ブログ:

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