SIBOと過敏性腸症候群!

2022/02/25

 皆様のお腹の調子はいかがですか? 蒼野はとても快調です。便秘や下痢を繰り返したりするために、お腹に良いと言われる食物繊維やヨーグルト、納豆などを沢山摂っている方もおられるのではないでしょうか? 今日は、腸活を頑張っているのに、一向に良くならない方のお腹の中で、起こっていることについて書いてみたいと思います。

 ストレスの多い現代を生きている我々の、お腹の調子を悪くする病気のうち、最近注目されてきている『SIBO』という病気をご存知でしょうか? 正式名称は、小腸内細菌増殖症(Small Intestinal Bacterial Overgrowth)です。本来大腸にあるべきバクテリアが、小腸内に入り込んで増殖することで起こる病気です。

 ちょっとしか食べていないのに、お腹がパンパンに張って、下痢や便秘、腹痛、おなら、腹部の違和感などに悩まされます。下剤や、整腸剤などの処方では改善しないため厄介です。最近増えている過敏性腸症候群のうち、なんと85%が『SIBO』であることが報告されています。ここ数年で注目される様になった疾患なのです。

 まずは小腸の働きからおさらいです。小腸は食べ物から栄養分を吸収する大事な器官で、沢山の絨毛に覆われた小腸粘膜は、伸ばすとテニスコート1面分の広さになります。健康的な小腸内には、大腸と比べて細菌は少な目です。胃液が流れ込むことで、細菌が殺されるため、ガスも発生しにくいのです。

 『SIBO』は高齢になる程リスクが高まります。健康な高齢者の35%が『SIBO』にかかっています。『SIBO』の状態になると、小腸の細菌数が通常の10倍になるのです。また細菌の多様性も失われ、小腸に炎症が起こります。

 炎症によって小腸粘膜が傷付き、びらんや潰瘍も出来てしまいます。栄養の吸収が悪くなり、粘膜の透過性が上昇してしまうため、毒素や未消化の栄養分が腸から漏れて、体内に入ってゆくため、体全体に炎症が波及することになるのです。リーキーガット(腸漏れ)症候群です。 

 栄養を吸収する器官である小腸で、細菌が増えすぎると、細菌が栄養を横取りしてしまいます。胆汁の働きを細菌が邪魔するため、脂溶性ビタミンの、ビタミンD, A, Eの吸収が悪くなります。またアミノ酸やタンパク質、ビタミンB12の吸収まで悪くなります。『SIBO』になると、善玉菌といえども、私たちの体と栄養を奪い合う関係になってしまうのです。

 また、小腸内の細菌が、食べ物からガスを産生するため、小腸がパンパンになります。おならやゲップで排出されるのですが、口側に出てゆくと、胃液も逆流させやすくなり、逆流性食道炎が起こりやすくなります。その治療のために、胃液を減らすH2ブロッカーやPPIなどを使うと、胃液で殺されていた小腸内の細菌がさらに増えることで、病状が悪化するのです。

 発生するガスに水素が多いと、下痢になります。ガスの元になる食べ物は発酵しやすい炭水化物です。メタンガスが多くなった場合には、腸の動きを抑制するため、便秘になりやすくなります。下痢型の『SIBO』は痩せており、便秘型の『SIBO』は肥満体系であることが多くなります。

 『SIBO』がある人が、お腹の具合を良くしようと思って、ヨーグルトやビオフェルミンなどの、善玉菌を含むプロバイオティックスを摂取しても、かえって小腸内の細菌を増やしてしまうため、さらにお腹の調子が悪くなることがあるのです。

 同じ理由で、プレバイオティックス、細菌の餌になるような、オリゴ糖なども含む、発酵しやすい糖質を摂ると、細菌の数が増え、ガスが発生して症状が悪くなるのです。腸活をすると調子が悪くなる人は『SIBO』かもしれません。

 『SIBO』の原因は、10個もあります。

1、まず腸運動の低下です。空腹時に働くMMC(伝播性消化管収縮運動)をしっかり起こすことが重要です。間食などで、四六時中食べていると、小腸内が空になる時間が無いため、MMCが起こりません。お腹がグーっとなるのがMMCです。食事はお腹が空いた状態で食べましょう。

2、抗生物質の乱用で、腸内フローラが乱れ、使用後に細菌が増えやすくなります。

3、ストレスは小腸に炎症を起こし、消化管の運動機能を低下させます。

4、胃液分泌を低下させる薬も、小腸内の細菌を増やします。

5、発酵性糖質の摂取が、小腸内の細菌を増やし、ガスを発生させます。

6、免疫力が下がると、小腸内の細菌数がコントロールできなくなります。

7、重金属(鉛、アルミ、カドミウム、水銀、ヒ素など)の蓄積が、過剰に増えた細菌を守るバイオフィルムの原料になるため、細菌が残りやすくなります。

8、食中毒や、急性胃腸炎などの感染症で出来た抗体が、MMCを傷害することがあります。

9、大腸から細菌が逆流しないように存在するバウヒン弁の機能不全(逆流性小腸炎)

10、胆嚢除去(胆汁の殺菌作用の低下)、慢性膵炎(40%合併)、NSAIDs、小腸憩室、潰瘍性大腸炎、クローン病など

 『SIBO』を予防するには、特別な注意点があります。小腸内細菌の餌となり、ガスの元となる発酵性糖質をFODMAPと呼びますが、これらを摂らないことが重要です。具体的には、オリゴ糖(豆、小麦、玉ねぎ、ニンニク)、乳糖(牛乳、ヨーグルト)、フルクトース(蜂蜜、果物)、ポリオール(マッシュルーム、カリフラワー)などです。低FODMAP食で調べてみてください。

 特に小麦や牛乳、砂糖は、悪化の大きな原因で、リーキーガットを起こす原因にもなるため、お腹が悪い人は避けるべきだと思います。同じ大豆製品でも、木綿豆腐は大丈夫ですが、納豆や絹ごし豆腐は、オリゴ糖が豊富なので避けるべき食品です。

 現在症状がひどい人は、『SIBO』が診れる病院を受診するのが良いと思います。小腸内の細菌を殺す抗生物質をもらい、細菌の餌を排除した、成分栄養剤を使った食事などで治療してくれます。しかし『SIBO』は再発しやすい病態です。

 現代人が陥りがちな、砂糖がたっぷりの食事、ジュース、ピザ、シリアル、パスタ、パンなどの食事で済ませていると、小腸内の細菌が大喜びして、どんどん繁殖してゆくのです。腸は、免疫系の要でもあり、生きてゆくエネルギーを生み出す大事な器官です。様々な病気の元になりますので、皆様『SIBO』に十分にご注意くださいね!

 16時間ファスティングとグルテンフリー、カゼインフリーで、胃もたれや逆流もなく、便通も快調で、お腹の調子はすこぶる良い蒼野でした。

参考書籍: 小腸を強くすれば病気にならない    江田 証

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