110歳越えの記録保持者が食べているもの!

2022/12/18

 昨日の江戸時代のセンテナリアン(百寿者)天海さんを調べていて、スーパーセンテナリアン(110歳超え)についても調べてみたくなりました。すると世界ベストテンに日本人が4人も入っていました。全て女性で、やはり日本は長寿国なんだなぁと感じました。

 世界第一位はフランス人のジャンヌ・カルマンさんです。122歳164日まで生きておられたそうです。最高記録保持者の日常生活を知りたくないですか? 1875年にフランスで生まれ、ゴッホの故郷であるアルル地方にお住まいで、生前のゴッホにも会ったことがあると言うことで有名になったそうです。

 彼女の生活はちょっと驚きでした。天海さんや徳川家康っていうのは健康オタクという面があり長寿の秘密の一面が伺われたのですが、ジャンヌカルマンさんは毎日タバコ1本吸い、自分の好きなものしか食べません。野菜が大嫌いで、好きな食べ物は赤ワインとチョコレートです。1週間に1キロ近いチョコレートを食べていたと言う記録が残ってます。

 少量の毒は薬になるということで、タバコも1日1本ならホルミシス効果が発揮されたのかも知れません! またフェンシングを85歳から始めたり、100歳まで自転車に乗っていたということで、運動も影響していそうです。ちなみに117歳で禁煙されています。

 ベストテンの第4位にもう1人リュシル・ランドンさんというフランス人が入っています。この人も赤ワインを毎日1杯と毎朝チョコレートを一粒食べていたそうです。修道女ということで、節制した生活を想像しますが、好物はフォアグラとロブスターだそうです。

 フランス人の長寿には、赤ワインとチョコレートに秘密がありそうです。カカオポリフェノール、レスベラトロールという、アンチエイジングと抗酸化物質が入っている事が影響したのでしょうか? 少量の赤ワインも少量のアルコールの毒のホルミシス効果と、レスベラトロールの影響については、地中海食が長寿食であるという時にお伝えしたので、今日はチョコレートについて調べてみます。

 チョコレートに関しては日本人の研究があるのでご紹介します。 愛知県で347人(45歳~69歳)、男性が123人女性224人に、4週間カカオ72%以上の高カカオチョコレートを、毎日25グラム、約150キロカロリーを摂取してもらう実験が行われました1)。

 まず分かったのは、被験者の最高血圧が平均で125.3から122.7まで下がっていて、最低血圧も78.8から76.9に下がってました。カカオポリフェノールは血管内の炎症を抑えてくれる作用があり、血管を広げる作用があることが影響したとされています。血の巡りが良くなるという事でもあり、全身の細胞に酸素や栄養がしっかり届けられることは、長寿につながりそうです。

 毎日チョコレートを食べると太るのではと思われるかも知れませんが、実験では体重とBMIの変化は認められませんでした。チョコレート摂取した人の中でもともと正常血圧だった人の変化はほとんど無く、もともと高血圧である人の血圧が大きく下がっていました。もともとの炎症が無い人には変化は起きにくいからだと考えます。

 漢方薬も同じですが、食材のように多種類の成分が入っている食べ物は、人によって身体の反応は違ってきます。正に医食同源です。コレステロールについても、チョコレートの摂取によって有意差を持って、LDLコレステロールは増えず、HDLコレステロールが増えることも確認されました。

 動脈硬化を予防してくれる作用があるということだと思います。1日25グラム程度でいいと言うことなので、決して取れない量ではありません。板チョコなら半分、チョコレート効果などの小分けになったものなら、1枚4~5gなので5~6枚程度ということになります。一度に食べずに2~3回に分けるとより太りにくいと思います。

 今回蒼野が知った驚きのチョコレートの大きな効果としては、BDNF(脳由来神経栄養因子)を増やすと言う結果です。血中のBDNFは6.07だったものが、摂取開始後4週で7.39に、有意に上昇しています1)。BDNFは加齢とともに減少していくので、しっかり補っていくのが大事です。

 BDNFはアルツハイマー型認知症や記憶・学習などの認知機能との関連性が報告されています。高カカオチョコレートは、高齢になればなるほど、増えてゆく認知症。女性であれば、95歳以上で83.7%にもなる認知症に対抗できる成分として有望なのでは無いでしょうか?

 またカカオポリフェノールで、脳血流が増えることで、認知機能テストのスコアが上昇することも報告されています2)。また赤ワインや紅茶、チョコレートを多く摂取している人は、認知機能テストの結果がよいという論文も発表されています3)。

 もちろん運動するとBDNFは増えるので、運動習慣を続けてゆくのはすごく大事なことです。1日7.5分以上、5000歩以上歩く高齢者には認知症発症者はほとんどいないというデータもありますので、チョコレートと共に、蒼野も朝散歩や犬の散歩に勤しみたいと思います。

 血圧低下の能力に関しては、特に閉経女性で効果が高いことがわかりました。閉経後の女性は内臓脂肪が蓄積しやすくなり、活性酸素の処理能力も低下してくることから、インスリン抵抗性が出てきやすくなります。血中インスリンが高いと、腎臓から塩分は排出しにくくなり血圧が上昇します。血糖値も上昇し、エストロゲンが下がるとコレステロールも上昇しやすくなります。これら全てに有効なのがチョコレートです。

 カカオ由来の成分でもう一つ素晴らしいものがあります。それがカカオプロテインです。これはお通じの改善にもとても有効な成分です。カカオプロテインの研究では、20歳以上50歳未満の便秘を自覚する女性に72%チョコレート25gと対照群としてホワイトチョコレートを食べさせました 腸内細菌を調べるとフィーカリバクテリウム属が2週間で2倍に増加することがわかりました。

 これは善玉菌の一種で、酪酸を多く作ってくれる腸内細菌です。酪酸産生菌は健康長寿者の多くで腸内に確認されており、健康長寿には必須と考えられる菌です。便秘を改善し、体内炎症を抑え、現在激増中で全国に20万人を超えてきている炎症性腸疾患や体内老化に対抗する成分になります4)。

 これも明治製菓による研究で、Nが15人ずつと小さいため、絶対正しいとは言えませんが、少なくとも長寿ランキングに入っている人が食べているものでもあり、生活の中に取り入れても良いものではないかと蒼野は考えました。個人的にはチョコレートは大好きで、苦いチョコレートも苦にならないため、積極的に楽しむつもりです! 

参考論文:

1)Effects of dark chocolate 72% cacao intake in healthy Japanese (Part1)とEffects of dark chocolate 72% cacao intake in healthy Japanese (Part2)(2015) 注)明治製菓の実験で、論文掲載があるかどうか探しましたが、見つけられませんでした。嘘では無いと思いますが、信憑性は高くは無いかと思われます。

2)Enhancing dentate gyrus function with dietary flavanols improves cognition in older adults. Nat Neurosci 2014, 17, 1798-803. 

3)Intake of flavonoid-rich wine, tea, and chocolate by elderly men and women is associated with better cognitive test performance. J Nutr 139, 120-7, (2009).

参考ページ:
4) 高カカオチョコレートの摂取により、腸内細菌「フィーカリバクテリウム」が増加
https://www.meiji.co.jp/chocohealthlife/news/research_cacaoprotein3.html

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