コロナに感染したらやってほしいこと!

2023/11/17

 このところ本当に忙しくて、ブログの更新ができなかった蒼野です。今週91歳の母が、まだ動けるうちに、福岡に遊びに来てもらおうと、以前から計画していたのですが、母を連れて来るはずの東京の妹が、先週末にコロナ感染してしまい、母の移動や、ホテル滞在もすべて蒼野が付き合うことになったからです。

 結構、妹のコロナはキツかったみたいで、1週間平熱に戻らず、喉の痛みが酷くて、最初は食事もできず、料理の味が分からない状態だったようです。少し動くと強い倦怠感を感じるということなので、後遺症が残らないように、万全の注意が必要です。自分はコロナの経験は無いのですが、今日は患者さんの話や、コロナ後遺症外来の情報を集めて、コロナ後に気をつけることをまとめてみたいと思います。

 LINEのやり取りからすると、病初期の喉の痛み、ひどい頭痛、味覚変化、倦怠感(全身炎症や自律神経失調による可能性)などは、コロナの感染病変として最も多い上咽頭を中心とした感染が中心にあるものと考えられます。上咽頭に炎症が起こると様々な症状が現れるからです。

 元々上咽頭は免疫の関所であり、コロナウイルスが細胞に感染する足がかりとなる、ACE2受容体が豊富な部位です。感染が起こると、”ガラスで刺されるような”と、表現される喉の痛みが起こります。上咽頭には健康な人でも常にリンパ球が待機しており、感染から身体を守るために炎症がとても起こりやすい部位なのです。

 しかも上咽頭は神経線維が豊富で迷走神経が投射しており、自律神経とも密接な関係があります。この部位に炎症が起こると、首や肩の凝りがひどくなり、とても頭が痛くなります。一つのサインが胸鎖乳突筋の圧痛です。首の横にある筋肉を押さえて、かなり痛むようなら上咽頭炎を併発しています。自律神経失調状態となると、倦怠感が強くなります。

 もちろん普通の風邪の時も、上咽頭に炎症が起こります。「風邪は万病の元」と言われるように、上咽頭の炎症は、全身にも波及し、炎症物質(サイトカイン)の働きで、関節炎や腎臓病、膠原病や様々な皮膚疾患などの発症の引き金になることがあるのです。もちろんこれも、倦怠感の原因になります。

 ですから、いつまでも上咽頭に炎症が残ってしまうと、後遺症につながりやすいことがわかっています。上咽頭の炎症のコントロールが、コロナ後遺症を長引かせないためには、最も重要だと思います。早く治すためには、上咽頭のケアから始めるのが一番良いと思うのです。

 家庭でできる対処法としては、まず鼻うがいをお勧めします。妹にも引き始めから、ウイルスを殺す作用のある、紅茶や緑茶などに塩を入れたり、マヌカハニーと塩を加えた溶液で、鼻うがいを繰り返すよう説明しました。

 免疫力は体温が高い方が活性化するため、38.5°C以上にならなければ、熱さましは使わないよう話し、葛根湯+小柴胡湯加桔梗石膏(柴葛解肌湯)を3時間おきに飲んでもらいました。何度も書いているのですが、ウイルスと戦っている時に、それをおさえ、熱を下げてしまう総合感冒薬は、飲まないのが鉄則です。

 ようやく熱が下がったら、疲れやすさ、倦怠感の処置が大切です。第一にしんどいのに無理して動かないことです。すぐに疲れてしまうような時期に無理をすると、寝込んで動けなくなる『クラッシュ』が生じることがあるからです。これは軽い労作後やストレス後に、急激な強い倦怠感が出てしまう現象です。

 このような症状が出る場合には、疲れることは絶対しないことが重要になります。根性で頑張ると本当に3日以上も寝たきりになります。そうならないよう、倦怠感が強くなる時期にはとにかく休むことです。重症のコロナ後遺症で準寝たきり状態になる人は、2か月以内になっています。感染後、2か月は要注意期間なのです。

 感染が終わっても、倦怠感がある人は鼻うがいを続けましょう。コロナ後、上咽頭は炎症が残りやすいからです。倦怠感が続く時に出来る事としては、補中益気湯などの漢方や、アミノバイタルやアミノバリューでBCAAを補給しましょう。筋肉のエネルギー源となるため、筋肉の疲れが起こりにくくなります。

 さらに、コロナ後遺症では亜鉛が不足していることも多いようです。味覚、嗅覚障害があったり脱毛がある人では特に、亜鉛のサプリメントを補給しましょう。ミトコンドリアのエネルギー産生を高める、コエンザイムQ10のサプリメントも、慢性疲労症候群にエビデンスがある製剤です。

 身体を温めるのもコロナ後遺症の治療法とされています。これから寒くなる時期では、脱衣所も温め、41℃の湯船で、しんどい場合は半身浴で10分を目処にゆっくり浸かります。入浴後も毛布などにくるまって、温めたまま30分休むというのが、慢性疲労症候群の治療としても有効な「和温療法」です。

 身体を冷やすのは良く無いので、冷えを感じる部分を、湯たんぽやゆたぽんなどを押し付けて温めるのも良い方法です。人によっては鍼灸が効く人もそこそこおられるようです。そこまで色々やっても治りが悪い場合には、最後の切り札である上咽頭擦過治療(EAT、Bスポット療法)をお勧めします。

 これは自分の患者様なのですが、コロナワクチン後の頭痛がいつまでも治らずに、食欲もなくなり5kgも痩せてげっそりして、蒼野を訪ねてくれた方がおられます。Bスポット療法をお勧めしたところ、5回目くらいから頭痛が劇的に改善したと報告を受けました。ワクチンでも人によっては、上咽頭の炎症が続く人がおり、その部分を擦過して、瀉血すると、炎症が治りやすくなり、頭痛や倦怠感が無くなる人がいるのです。

 コロナ後遺症の切り札も、この上咽頭擦過治療です。50~60年前から広く行われていた安全性の高い治療です。話を聞くとかなり痛くて、沢山血も出るそうです。感染後も続く倦怠感、熱っぽさ、頭痛、体の痛み、息苦しさや咳、動悸、思考力低下、嗅覚味覚障害などに、とても効果があることが報告されています。

 今後の病状を見ながら、治りにくいようであれば、妹にもこのBスポット療法を勧めようと思います。蒼野も忙しい1週間を送っていて、実家の薄い布団で寝た時に少し喉が痛くなりました。夜中に起き出して、いち早く緑茶で鼻うがいをすると、すぐに良くなりました。Bスポット療法以外は家で出来る治療になりますので、お役に立てれば幸いです。

 妹も早く、体調が戻って、今度こそ母と一緒に旅行が楽しめるといいなあと思う蒼野でした。

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