今日は、腸の健康のために日頃からとっておきたい食物繊維食材、ベスト3を書いてみたいと思います。善玉腸内細菌のエサになるだけではなく、それぞれが独自の作用も持っており、かつては薬として使われていたりもします。しかし人によっては合わない場合もあるのを、知っておいて下さいね!
まず一つ目はニンニクです。ニンニクは古代から、薬として使用されてきました。古代エジプト、ローマ、ギリシャ、中国、インドなど、世界各地の多くの文化で、その抗菌作用や抗酸化作用、免疫活性化作用などが利用されてきました。
ニンニクにはフラクトオリゴ糖という食物繊維の一種が入っています。これは善玉菌の餌として重要で、主にビフィドバクテリウムの増殖を促し、腸のエネルギーとなり、腸の健康に重要な短鎖脂肪酸を作ります。短鎖脂肪酸が作られると、腸内のPHが下がり悪玉菌が繁殖しにくくなり、腸内フローラのバランスが改善します。
また、腸の上皮細胞は短鎖脂肪酸をエネルギーとして利用するため、リーキーガット(長漏れ)が起きにくくなるのです。腸漏れにならなければ、腸周囲の免疫システムへの刺激が減り、老化や現代病の原因となる、全身炎症も抑制されます。
またニンニクに含まれる匂いの素であるアリシンは、強力な抗菌作用、抗真菌作用、抗酸化作用のある硫黄化合物です。そのためニンニクは古来より、感染症の予防や治療に使われてきました。アリシンはニンニクに含まれるアリインというアミノ酸が、アリイナーゼという酵素と反応して生成されます。
ニンニクを刻んだり、潰したり、すりおろしたりして初めて生成されます。最大限に利用しようと思えば、刻んだり、潰したり、すりおろしたりしたニンニクを生の状態で、10~15分おいてから摂取すると良いとされています。アリシンは熱に弱いため、調理の過程で減ってしまうからです。
しかしアリシンを大量に摂取すると、胃腸の粘膜を刺激するため、人によっては胃痛や胃もたれ、腹痛や下痢などを起こすことがあります。胃腸が敏感な人は注意しましょう。蒼野も、おろしニンニクをラーメンにいっぱい入れて食べた後、お腹の調子が悪くなった経験があります。アリシンの適度な摂取で、腸内の悪玉菌や真菌が減り、腸内フローラのバランスの改善が期待できます。また免疫システム自体も強化してくれるため、腸内環境が保たれやすくなるのです。
二つ目は玉ねぎです。玉ねぎにもフラクトオリゴ糖が豊富に含まれています。ニンニクと同様、善玉菌のエサとなって、短鎖脂肪酸が作られます。短鎖脂肪酸の中でも、特に酪酸は、日本では京丹後市などの長寿地域のお年寄りの腸内で多く作られていて、長寿物質とも呼べる物です。抗酸化作用、抗炎症作用が強く、インスリン抵抗性を減らすため、健康的な体重管理に寄与し、神経保護作用があるため、脳の健康にも働いてくれます。
玉ねぎには、それ自体にキノンという抗酸化物質を含んでいます。これは腸内の酸化ストレスを抑制し、腸内細菌のバランスを保つのに役立ちます。またケルセチンというフラボノイドが含まれており、強い抗酸化作用で腸内フローラのバランスを保ち、大腸がんのリスクを減らしてくれます。
しかし残念ながら玉ねぎが合わない人も存在します。食物繊維の割合が大きいため、胃腸の刺激になりやすく、中でもフラクタンという水溶性食物繊維が、人によっては腹痛、ガス、膨満感、下痢などの原因になることがあります。これも胃腸が弱い人はたくさん食べすぎない方が良いため、摂取量に注意しましょう。
三つ目はキノコです。きのこには豊富な食物繊維が含まれており、それはキチンとβ-グルカンです。キチンはほとんど消化されない食物繊維です。甲殻類の殻にも含まれているキチン・キトサンのキチンです。まだ全ては解明されていませんが、キチンを分解して、単糖やオリゴ糖に分解することで、短鎖脂肪酸が作られます。
β-グルカンは多糖類の一種で、免疫系を活性化し、コレステロール値を下げる効果があると報告されています。特にきのこの中でも霊芝は、漢方薬に使われ、免疫システムの強化に役立つとされています。もう下火になりましたが、アガリスク茸(ブラジルのキノコ)のβ-グルカンが、癌に効くとされて、高価な値段で取引されていたのも、蒼野は覚えています。
また先日のエクソソームのブログで書いたように、ミドリムシのβ-グルカンが、腸管細胞に直接作用してエクソソームの分泌を促し、疲労感の軽減や、自律神経のバランスを取り、免疫力をあげ、生活習慣病を予防する効果が報告されています。様々な食材に含まれるβ-グルカンに、同じような認められてもおかしくは無いと思います。
キノコ自体にも多くの抗酸化物質が含まれています。キノコは腸内フローラの多様性も増やしてくれる健康食材です。毎日の食卓に、様々なキノコを上げたい物ですね! β-グルカンはオーツ麦や大麦にも含まれています。最近ではオートミールの健康効果もよく目にします。
ニンニクや玉ねぎが問題ない人では、自然な甘さを持つフラクトオリゴ糖を、砂糖の代わりに使うのもオススメです。善玉菌のエサとなるため、健康維持に役立つと思います。蒼野家も砂糖をフラクトオリゴ糖に変えました。最近エリスリトールが、血小板を活性化する作用があり、血栓を作る確率が上昇することが報告されました。蒼野もエリスリトールを使っていたのですが、フラクトオリゴ糖に変えてみることにしました。
ただフラクトオリゴ糖を始めとする、FODMAPs(発酵性オリゴ糖、二糖類、単糖類、多価アルコール)を含む食品を摂取すると、ガス、腹痛、下痢などの症状が出る人がおられます。過敏性腸症候群(IBS)や小腸細菌過成長症(SIBO)の人々には合いません。通常細菌があまりいない小腸で、細菌が異常増殖してしまい、栄養の吸収を阻害してしまうのです。
こういった方々は残念ながら、玉ねぎやニンニクはNGです。低FODMAP食で調子を整え、各種FODMAPsを、徐々に食事に戻して様子を見る必要があります。どんな種類のFODMAPが悪く、どのくらいの量で症状が出るのかを確かめる必要があるのです。
今日は身体に良い食物繊維を含む食材を3つ紹介しましたが、もちろん他にも良い食材は多くあります。ピーナッツにはフラクトオリゴ糖(FOS)の一種であるイヌリンが多く含まれています。アスパラガスにはFOSとイヌリン、青バナナにはレジスタントスターチ、りんごにはペクチンが含まれています。豆やナッツも食物繊維の宝庫です。やはり健康の基本は、様々な野菜や果物などの植物食なのです。
理想は、日本人の最も古いルーツである、縄文時代の人が食べていたように。季節ごとに様々な植物を食べてゆくことです。腸内フローラの多様性にも繋がり、身体のバランスが自然に整うと思います。それが日本人が持っている腸内フローラに適した食べ方です。蒼野も意識して、旬の野菜を楽しみたいと思います。皆様も是非、意識してみて下さいね!
過去ブログ: